肺は喫煙ダメージを「細胞の置換」によって修復できると判明

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  • 喫煙による肺のダメージの一部は、禁煙後に「喫煙未経験者と同じレベル」にまで癒されることが分かった
  • 貯蔵庫に蓄えられていた健康な細胞と損傷した細胞が置換される

30年、40年喫煙していると、「禁煙するには遅すぎる」と言われることがあります。喫煙者本人もそう感じているかもしれません。

多くの人が、「長年ダメージを受けてきた肺が回復することはない」と考えているのです。

しかし、新しい研究は「喫煙をやめるのに遅すぎることはない」ということを示唆しています。禁煙すると、肺は細胞を置換することによって喫煙によるダメージを癒せることが判明したのです。

研究はイギリスの遺伝学研究所ウェルカム・サンガー・インスティテュートとUCLによって行われ、の詳細は1月29日、「Nature」誌に掲載されました。

Tobacco smoking and somatic mutations in human bronchial epithelium
https://www.nature.com/articles/s41586-020-1961-1

肺のダメージが「魔法のように」癒される

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新しい研究では、喫煙者、元喫煙者、喫煙経験のない成人、子供を含む16人の肺生検が分析され、がんにつながる可能性のある遺伝子変異を探しました。

加齢による細胞の遺伝子変異は基本的に無害だとされている一方、喫煙による遺伝子変異は有害であり、がんに繋がる可能性が高いとされています。

実際に喫煙者の肺細胞10個中9個は遺伝子変異しており、そこにはがんに繋がる有害なものも含まれていました。

研究者が次に注目したのは、元喫煙者の細胞の状態です。

もともとは肺の大部分にダメージを負っていたようですが、禁煙後、細胞の40%が健康状態になっていることが分かりました。しかもこれらの細胞は「喫煙経験のない人」と同じ健康レベルとのこと。

つまり、喫煙をやめたことで損傷した細胞がみるみる回復していたのです。

ダメージを負った肺が癒える仕組みについて、研究者は次のように述べています。「損傷した細胞は自分自身を修復することはでません。ダメージを負っていない健康な細胞が、それらに取って代わるのです」。

研究者は、健康な細胞を蓄えている「貯蔵庫」のようなものがあると考えています。人が喫煙をやめると、その貯蔵庫から健康な細胞が増殖していき、損傷した細胞と置換するのです。

40年間喫煙してきた人でもOK?

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「細胞の置換」による肺ダメージの治癒は、長年喫煙してきた人にも効果がありました。

実際に、40年間1日1パックのタバコを吸い続けてきた人にも禁煙後に効果が現れ始め、肺の一部が完全に健康な細胞へと置換されていました。

この実例は「禁煙はいつでも遅くない」ことを示すものとなるでしょう。

ただし、肺気腫を引き起こすほどの肺への深い損傷については修復が難しいため、安易に判断してしまうのも注意が必要とのこと。

また、今回の肺の治癒現象には未だ多くの謎が残っています。今後の研究では、健康な細胞の貯蔵庫の発見と、置換の仕組みの解明に焦点が当てられていくようです。

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reference: bbc,theguardian / written by ナゾロジー編集部
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