- アメリカの洞窟内で、3億3000万年前に生きていた古代サメの化石が発見される
- 軟骨からなるサメの骨格は、化石として残りにくいが、今回は、頭蓋骨や下顎、軟骨なども発見されている
アメリカ・ケンタッキー州にあるマンモス・ケーブ国立公園にて、約3億3000万年前のサメの化石が発見されました。
サメは約4億年前のデボン紀に起源を持つ非常に古い生物。古代のサメは石炭紀〜ペルム紀(約3億6000万年〜2億5000万年)の間に絶滅しています。現代のサメが生まれたのは、それ以降の中生代(2億5217万年〜6600万年前)です。
今回発見された化石は、有史以前のサメに関する貴重な記録です。
研究の詳細は、1月29日付けで「Louisville Courier Journal」に掲載されました。
https://www.courier-journal.com/story/news/local/2020/01/29/mammoth-cave-sharks-rare-fossils-found-kentucky-national-park/4565713002/
サイズは「ジョーズ」に匹敵
最初に化石を発見したのは、同地で化石調査をしていた科学者のリック・オルソン氏とリック・トゥーミー氏でした。両氏は、洞窟の壁に保存されていた化石を写真に撮り、古生物学を専門とするジョン・P・ホドネット氏に鑑定してもらいました。
ホドネット氏は、画像中の化石をサメと特定しましたが、特に興味を持ったのはその保存状態です。
「大部分が軟骨からできているサメの骨格は、普通の骨のようには化石化せず、めったに化石として残りません。見つかるのは歯ばかりです。
しかし、画像を見ると、明らかに化石化した軟骨部分が確認できました。これは、サメの骨格が洞窟の壁に保存されていることを示唆するものです」と話しています。
画像確認後、ホドネット氏は直接現地を訪れ、化石の調査を行いました。
その結果、骨格の全体が発見されはしなかったものの、頭蓋骨や下顎、軟骨、そして複数の歯が特定されたのです。化石のサイズから、このサメは、現代のホオジロサメと同等の大きさを誇り、全長4.5mほどと推定されています。
また、同氏によると、サメは、およそ3億4000万年〜3億3000万年前に生息していた「Saivodus striatus」という種である可能性が高いそうです。
その時期は、ミシシッピ後期地質時代(およそ3億5900万〜3億2300万年前)に相当し、洞窟が位置するケンタッキー州は、浅い熱帯の海に沈んでいました。
そのため、この地域では、数多くの海洋生物の化石が発見されています。今回の発見は、古代サメの生態を詳しく知る貴重な情報源となりそうです。