火星の長年の謎が解決?南極冠の層の秘密は「公転のゆらぎ」だった

space 2020/02/03

Credit:NASA/JPL/Malin Space Science Systems
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  • 火星の公転のゆらぎによって、氷とドライアイスの層がつくられることが判明した
  • 火星の南極にあるドライアイスが昇華することで、大気圧は現在の4分の1から2倍にまで変動する

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地球の南極大陸に氷があるように、火星の南極にも「南極冠」と呼ばれる層状の氷で覆われている部分があります。南極冠は水(氷)と二酸化炭素(ドライアイス)が混ざったものからできています。

南極冠は氷とドライアイスが交互に重なり合って層を形成しています。しかし、層状になる理由は長年解明されていませんでした。

そこでカルフォルニア大学のピー ター・ビューラー氏らの研究チームは、「火星の公転のゆらぎが氷とドライアイスの層形成に寄与する」ことを発見。長年の謎が解明されたかもしれません。

研究の詳細は「Nature Astronomy」誌に掲載されています。

Coevolution of Mars’s atmosphere and massive south polar CO2 ice deposit
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0976-8

火星の南極冠が層状になる理由

Credit:BY-SA3.0

火星の南極冠が神秘的なのは、氷とドライアイスがいくつもの層になっている点です。

理論的には、氷はドライアイスよりも温度的に安定しているため、交互の層状をつくりません。

氷は0℃以下で固体を維持できますが、ドライアイスは-79℃以上になると昇華(気体化)してしまうためです。

氷が下層、ドライアイスが上層という単純な2層であればあり得そうですが、実際には交互にいくつもの層を作り上げているのです。

しかし、研究チームの調査によって、長年謎とされてきた層形成が解明されました。

チームによると、主な要因は「公転」です。

火星は太陽の周りを公転しますが、回転軸上で「ぐらつく」ことがあります。これによって傾斜が変化し、南極に到達する太陽光の量が変化します。

太陽光が少ない期間には、ドライアイスが形成されますが、この時、少量の氷も同時に存在します。

太陽光が多い期間には、ドライアイスが昇華するので、氷のみの層が形成されます。

氷は堆積物を密封するわけではないので、太陽光が多い時期には、氷を通り越して昇華します。

しかし、火星の気候の変化が、毎回すべてのドライアイスを昇華させるわけではないので、氷と氷の間にドライアイスが残るようになりました。

科学者たちは、太陽光の多い時期と少ない時期が510,000年繰り返されることによって、今の南極冠ができたと考えています。

気圧変動の解明

Credit:NASA/JPL/Malin

この現象は、火星の気圧変動にも大きく関係してきます。

火星は大気の95%以上が二酸化炭素で占められており、地表での大気圧は地球の僅か0.6%しかありません。

そして、火星の氷冠の深さは約1kmであり、現在の火星の大気に存在する二酸化炭素と同量のドライアイスを保持していると考えられています。

火星が公転する際に「ぐらつく」ことで、大気中の二酸化炭素がドライアイスになったり、逆に昇華したりします。当然大気中の二酸化炭素量が大きく変化するので、大気圧も影響を受けるのです。

大気圧が現在の4分の1から2倍にまで変化するプロセスは1960年に予測されていましたが、その仮説も今回の調査によって証明されたと言えます。

今回の調査は、火星の液体の安定性や居住性を含む火星の気候の変化を理解するための大きな進展となりました。

高解像度で撮影された火星北極の画像が美しい

reference: sciencealert / written by ナゾロジー編集部
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