- 最新の研究で、激しい目覚まし音楽は、覚醒時の倦怠感を促し、その後4時間にわたってパフォーマンスが低下すると判明
- 質の高い覚醒を促すには、自然音やクラシックなどの緩やかな音楽、あるいは自然光やライトを使った方法が効果的
RMIT(ロイヤルメルボルン工科大学)の研究で、目覚まし音楽の種類により、覚醒状態に大きな質の違いがもたらされることが判明しました。
それによると、大きな音で「ジリリッ」と鳴る目覚まし音や、アップテンポの激しい音楽は、覚醒時の倦怠感を強めるとのこと。
早朝に重要な仕事や会議が控えている場合は注意が必要です。
研究の詳細は、1月28日付けで「PLoS One」に掲載されました。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0215788
激しい音楽は目覚めに悪い?
研究チームは、50人の被験者を対象に、自宅から遠隔で参加できるオンライン調査を実施しました。
それぞれの被験者は、どのような種類の音/音楽で起きたのかを記録し、その後、標準化された睡眠惰性表に従って、覚醒時の気分や倦怠感を評価づけしています。
その結果、鐘を打つようなけたたましい音やボリュームの大きな音楽は、覚醒時の倦怠感を増幅させることが判明しました。
研究主任のステュアート・マクファーレン氏は「質の良い目覚めに失敗した場合、その後4時間にわたってパフォーマンスが落ちる」と指摘します。
そのため、朝の目覚ましに、アップテンポなポップソングやロック、ヘヴィメタル音楽などは、控えたほうが懸命です。
一方で、緩やかなメロディー調の音楽が覚醒時の質の向上に繋がることも判明しています。例えば、鳥のさえずりや川のせせらぎなどの自然音、あるいはクラシック音楽がそれに当たります。
例えば、グリーグの『ペールギュント:朝』などは「朝の曲」として定番です。
マクファーレン氏は「消防士やパイロットのように、覚醒後すぐに危険を伴う状況で働く人ほど、朝の目覚めには注意が必要」と指摘します。これは、朝早くに車を運転する必要がある一般の人でも同じことが言えるでしょう。
また、別の研究では、音楽よりも自然光で目覚めるほうが、覚醒時のパフォーマンスが向上するという結果もあります。
人の体は、90分周期で深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)を繰り返しており、実際に起きる1時間ほど前に、脳が「コルチゾール」というホルモンを放出します。
これが体温をゆっくりと上昇させ、レム睡眠へと移行し、スムーズな起床を促します。つまり、この生体運動を妨害するような激しい音楽は、頭と体の働きの両方を低下させてしまうのです。
しかし自然光は、体温の上昇(覚醒への準備)を適切に促すため、現在では、光で起こしてくれる目覚ましも数多く販売されています。
1日のスタートを気持ちよくきるためには、目覚まし方法の工夫が重要のようです。