- 世界最古の映画の一つである『ラ・シオタ駅への列車の到着』が、AI技術を使って4K高画質に修復される
- 本作は、映画史上初のヒット作であり、公開からわずか4年間で100本以上のリメイクが作られた
世界最初期の映画として知られる『ラ・シオタ駅への列車の到着』。
映画史の中ではあまりにも有名なこの作品が、このたび、AI技術により、4K高画質に修復されて公開されました。
1896年に初公開された本作が、120年以上の時を経て、鮮明な映像とともに現代に蘇っています。
映画史上最初のヒット作
本作を撮影したのは、映画の生みの親の一人であるフランスのリュミエール兄弟です。
彼らが、1895年に発表した「シネマトグラフ」は、一度に大勢の観客が見られる世界初のスクリーン映写機として登場しました。この装置は、撮影と投影の両方ができる優れものです。
それ以前の1891年に、発明王エジソンが、映画の原型である「キネトスコープ」なるものを開発していますが、これは、一度に一人ずつしか見れない、いわゆる「のぞき穴装置」でした。
ちなみに、エジソンもそのすぐ後に、「バイタスコープ(1896)」というスクリーン映写機を発表しています。
リュミエール兄弟は、自らが生み出したシネマトグラフを使って、膨大な数の映画(記録映像)を撮りました。
その中で最も有名なのが、『ラ・シオタ駅への列車の到着』です。
パリのグラン・カフェで初上映されたわずか50秒ほどの映像に、集まった観客たちはひどく驚嘆。「近づいてくる列車に轢きつぶされるのではないか」と逃げ惑ったという逸話まで残っています。
その映像がこちらです。
この短い映像は、公開後たちまち話題を呼び、1900年までの4年間に100本以上の「列車の到着」が世界中でリメイクされました。
つまり、映画史上最初の大ヒット作となったのです。