サル同士で脳がシンクロする現象、サルの「地位」が関係していた

animals_plants 2018/04/02
Credit: Pixabay

他人の食事風景でお腹がすいたり、もらいあくびをしたり。他人の行動を見ただけで影響されるのはなぜでしょうか。この不思議な現象は、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞が関係していると言われてます。

ミラーニューロンとは、誰かの行動を観察するときと、観察者が行動するときの両方で、活動電位を発生させる神経細胞のこと。これは霊長類の社会的関係に非常な役割を持っているといわれており、主に猿での実験が行われています。

ドゥーク大学の研究者は、猿のミラーニューロンの働きは物理的な近さやヒエラルキー、食糧競争などの要因によって影響を受けるという仮説のもと、調査を実施しました。

Interbrain cortical synchronization encodes multiple aspects of social interactions in monkey pairs
https://www.nature.com/articles/s41598-018-22679-x

実験では、2匹の猿に無線装置をつけ、脳の運動野部分のニューロンの動きを観測。無線装置を使うことで、猿が相互作用しているときと、そうでないときの神経の変化を観察することができます。

まず、猿を2つのグループに分けます。1匹は自動操縦の車椅子に乗せられ、報酬のブドウが置いてある部屋に向かう「乗客」。もう一方は、その乗客をブドウの同じ部屋で見ている「観察者」です。車イスは、自動操縦で報酬のブドウが置いてある部屋にまでたどり着ます。そして、そのときの猿の脳の動きを同時に計測しました。

その結果、猿たちは何度も神経的なシンクロが生じていました。そのシンクロから、猿同士がお互いの近さや乗客とブドウとの遠さ、さらに車イスの場所や速度が予測できるのです。

Credit: Shawn Rocco / Duke Health

また興味深いことに、そのシンクロには猿の「地位」が大きな影響を与えていることがわかりました。権力のある猿が乗客のときはシンクロ率が増加し、乗客が観察者の猿と毛づくろいできるくらい近い約36センチの距離に近づくと、シンクロ率のピークを迎えました。しかし、その逆の立場では、シンクロ率の上昇はありませんでした。これは、報酬を前にした地位の高い立場の猿にそうでない猿が近づいても、攻撃を受けるなどの脅威が少ないからと考えられます。

研究者は、シンクロ現象は、ミラーニューロンが同時に働くことで生じると考えています。そしてこれと似た脳のシンクロは、人間にも起こり得ます。また、他人とのコミュニケーションが苦手などの特徴をもつ自閉症患者の場合、このミラーニューロンに機能不全がみられるようです。今回の研究は、自閉症患者の治療の助けにもなるでしょう。また、異なるグループの連携の度合いを数値で計測することにも応用できます。

論文著者のミゲル・ニコレリスは、「今回の実験で用いられたような非侵襲型装置を使うことで、プロのアスリートやミュージシャン、ダンサーなど人との協力を必要とする人たちの脳の働きを計測することができます。また、それらと観客が見たり聞いたり、想像したりすることへの関係性を確認できます。この実験は、シンクロによって社会的結束を向上させることで社会的な課題解決のために重要なものです」と述べています。

研究者たちは、次の研究では研究対象を猿から人へ移し、MRIや電極が埋め込まれたキャップを使って実験する予定です。

 

もしかしたら人間にも、シンクロしやすい人とそうでない人がいるのかもしれませんね。

 

via:ZME science/ translated & text by Nazology staff

 

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