- 「男性はパンチ力に特化した身体へと進化した」という仮説が検証された
- 男性のパンチ力は女性よりも162%大きい
- 「槍投げ力の男女差」よりも「パンチ力の男女差」のほうがはるかに大きい
オスの鹿や羊には立派な角があります。動物界では、戦闘のために「武器」を持っているオスが珍しくありません。
それらの武器は、環境と戦いに適応するために備わってきたと考えられていますが、ある研究者らは、人間の男性の「武器」は、女性よりもはるかに発達した筋肉から繰り出される「パンチ」かもしれないと考えているようです。
今回、米国ユタ大学のジェレミー・モリス氏の研究チームが「パンチ力」に関する男女の違いを調べました。その研究によると、「他の行動と比べて、男性はパンチ力に特化している」と報告されています。
研究の詳細は「Journal of Experimental Biology」に掲載されました。
Sexual dimorphism in human arm power and force: implications for sexual selection on fighting ability
https://jeb.biologists.org/content/223/2/jeb212365
男は「パンチ力」に特化している?
「人体が現在の構造になったのはなぜか?」という疑問に答えるために、これまでに多くの仮説が立てられてきました。
ある研究者たちは、「過去の対人戦闘の歴史が、現在の身体の仕組みに進化させた」かもしれないと考えています。
戦闘方法は様々ですが、拳やかかとの仕組みを考えると、「男性は、強いパンチを打つための筋肉に恵まれている」可能性があるとのこと。
実際、男性の上半身は女性よりも筋肉量が75%も多く、そこから生み出される力は90%も大きいことが分かっています。
こうした経緯から、研究者たちは「男性が対人戦闘ゆえに、パンチ力に特化した身体になった」という仮説を立てました。