
- エルサレム近郊に、紀元前900年頃に建設されたと思われる「古代寺院」が発見される
- この寺院は、当時のユダ王国が「ソロモン神殿」のみを崇拝の対象と定めていたのと同時期に存在していた
テルアビブ大学(イスラエル)考古学研究チームにより、エルサレムから6.4キロほど離れた場所で、古代寺院が発見されました。
「Tel Motza」と呼ばれるこの遺跡は、1990年代初期にはすでに知られていましたが、寺院の遺物が発見されたのは2012年のことで、さらにその全体像が明らかになったのは、昨年のことでした。
しかも、この古代寺院は、単なる遺跡の発掘以上に、旧約聖書の内容を覆してしまう可能性を秘めていたのです。

王の命令に背いた寺院だった?
研究により、Tel Motzaの寺院が建立されたのは、紀元前900年頃で、その後、紀元前6世紀に崩壊するまで数百年にわたり続いたことが分かっています。
この時代は、古代のユダ王国が、エルサレムを含むイスラエル地域(上の黄色部)を統治していた時期でした。
ユダ王国では、ただ一つの崇拝対象である「ソロモン神殿」が紀元前10世紀頃に建てられましたが、それ以外の神殿や寺院は許されていませんでした。そのため、この神殿は「第一神殿(First Temple)」とも呼ばれます。

ユダヤの旧約聖書には、当時の統治者であったヒゼキヤ王とヨシヤ王の宗教改革によって「崇拝の対象はすべてソロモン神殿に統合し、それ以外の場所での宗教活動はいかなるものも禁ずる」と明確に記載されています。
この宗教改革は、紀元前8〜7世紀の間に始まったものです。
つまりTel Motza寺院の存在は、旧約聖書の内容を覆すと同時に、当時のユダ王国がソロモン神殿の他に崇拝対象を持っていたことを示しているのです。