勉強中と睡眠中の「匂い」が学習効率を向上させる

psychology 2020/02/15
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point
  • バラの匂いが充満する部屋での学習と睡眠は、記憶力を30%向上させた
  • 匂いによる睡眠学習は可能かもしれない

試験を控えている学生や社会人にとって、学習効率の向上は非常に大切です。

学んだことを記憶として定着させるために、睡眠が役立つことはよく知られています。

新しい研究では、匂いと睡眠中の記憶定着の関係性が明らかになりました。

ドイツのフライブルク大学のユルゲン・コーンマイヤー氏らの研究チームは「勉強中と睡眠中の匂いが学習効率を向上させる」ことを発見したのです。

バラの香りが充満した部屋での学習と睡眠が、生徒たちの英単語の記憶率を約30%向上させました。

研究の詳細は、1月27日「Scientific Reports」に掲載されました。

How odor cues help to optimize learning during sleep in a real life-setting
https://www.nature.com/articles/s41598-020-57613-7#Sec7

匂いで記憶力が向上する?

Credit:Jürgen Kornmeier

学んでいる事柄を効率よく記憶するためには「関連づけ」が大切です。

研究者たちは、バラの香りのような微かな匂いが学習内容と関連づけされ、記憶力にどのように影響するのかを調べることにしました。

この研究は54人のドイツ人学生を対象として行われました。

彼らにはバラの匂いを嗅ぎながら、英語の語彙学習を行なってもらい、それがテスト結果にどのような影響をもたらすか調査しました。

また、睡眠との関連性も同時に調査されました。

彼らは、次の4つのグループに分けられました。

N(None):匂いなし

LT(Learning&Test):学習中とテスト中にバラの匂いがある

LS(Learning&Sleeping):学習中と睡眠中にバラの匂いがある

LST(Learning&Sleeping&Test):学習中と睡眠中、テスト中にバラの匂いがある

それぞれのグループのテスト結果には大きな違いが生じました。NグループとLTグループは同等の成績でしたが、バラの香りの中で寝ていたLS、LSTグループは好成績を残せたのです。

バラの匂いのある部屋で勉強したり寝たりすることで、記憶しやすくなり、英単語の記憶力は30%も向上しました。

睡眠と匂いの関係

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研究結果の着目すべき点は、記憶力を向上させた2つのグループとも、匂いと学習と睡眠がセットになっていたことでしょう。

睡眠中に外国語のテープを聞くような「聴覚の睡眠学習」もありますが、この有用性に対する意見は様々です。

しかし、今回の結果は、匂いによる「睡眠学習」の可能性を明らかにしています。匂いを嗅ぎながら学習した後に、同様の匂いの中で眠ることで記憶が定着しやすくなるのかもしれないのです。

「匂いの睡眠学習」のメリットは、誰でも簡単に適用できる点にあります。線香やアロマをしようするなら、簡単に部屋を匂いでみたすことができます。

また、香水を使用するなら、試験中でも特定の匂いを嗅ぐことができるでしょう。

もちろん、今回の研究のサンプルサイズが小さいことや、人間は睡眠中にそれほど多くの匂いを知覚できないことを示すいくつかの証拠もあるため、「匂いの睡眠学習」が確証に至ったわけではありません。

さらなる研究は必要ですが、睡眠中の記憶に関しての理解と適応可能性を示すものとなりました。

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reference: sciencealert / written by ナゾロジー編集部

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