火星形成は実は非常に長い時間がかかっていた、という新モデルが登場

space 2020/02/16
火星コアが形成された後、小惑星がぶつかるシミュレーション。/Credit: Southwest Research Institute
point
  • 地球で火星起源の隕石には、本来コアに沈んでいるべき親鉄性元素が多く見つかる
  • 隕石の組成を考慮すると、初期の火星には巨大な惑星類似体が衝突していた可能性が高い
  • 新モデルは、火星が形成が、従来の予想より長い時間がかかった可能性を示している

現在の惑星科学の問題の1つが、火星はどのように形成されたのかということです。

地球上では約6万1千個近い隕石が見つかっていますが、その内200個近くは火星から飛ばされてきた岩石と考えられています。

こうした事実は、見つかった隕石を測定した結果、宇宙空間で放射線にさらされていた時間が短いことなどから推定できます。

ここに含まれる元素の量を考えると、火星は形成初期の頃に巨大な惑星類似体と衝突しており、これが現在の火星を形成した要因になっている可能性があります。

今回の研究では、隕石中から確認できる元素の割合などから、この時の様子を推測し、平滑化粒子流体力学の衝撃シミュレーションを行って、古代の火星に何があったかを明らかにしています。

この研究は、米国テキサス州にあるサウスウエスト研究所の研究チームにより発表され、2月12日付でオープンアクセスの科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。

A compositionally heterogeneous martian mantle due to late accretion
https://advances.sciencemag.org/content/6/7/eaay2338

火星由来の隕石に見られる元素

北西アフリカで発見された火星隕石「NWA 7034」/Credit: NASA

火星由来の隕石には、通常考えられるより非常に多くの鉄と化合物になりやすい元素が見つかっています

こうした鉄と親和性の高い元素は、ほとんどが惑星形成の際、コアへと隔離されます

火星隕石にこうした強親鉄性元素が見つかる原因は、火星コアの形成後に、独自のコアやマントルという構造を持った惑星類似体が、複数回初期の火星に衝突したことを示しています。

推定されるこの衝突物体の大きさは、直径1930キロメートルになると考えられています。

研究チームはこうした予測を元に、平滑化粒子流体力学に基づく衝突シミュレーションを行いました。

火星形成の新モデル

120万個のパーティクルで表現された初期の火星に衝突する発射体のモデル化。中央が火星で、濃い灰色がコアで白い粒子がマントルを示す。発射体はコアとマントルがそれぞれ茶色と緑で表現されている。/Credit: SwRI/Marchi

火星の形成は、火星隕石に含まれるタングステンの年代測定から、太陽系誕生の約200万〜400万年後の期間に急速に行われたと考えられています。

しかし今回の研究では、その後初期の火星に大規模な衝突が起こったことで、タングステン同位体のバランスに変化が起きた可能性があるといいます。

その場合、最大で2000万年ほど、火星の形成期間の予想はズレる可能性があり、火星は考えられているよりずっと長い期間をかけて形成されたかもしれないのです。

この新モデルは、火星が早期の形成された後成長を止め、降着物質は比較的小さな小惑星などの衝突でもたらされたという従来のモデルとは異なる解釈をもたらしています。

初期火星がどのように見えたかのイメージ。/Credit: SwRI/Marchi

マントルやコアという構造を持った巨大物体が火星に衝突していた場合、それは火星の親鉄性元素の濃度に変化を与え、マントルにもさまざまな量の放射性物質を追加したと考えられます。

今後の火星探査では、火星の岩石のサンプルを地球へ持ち帰るミッションも計画されています。

こうした火星の岩石に含まれる元素の変動を調べれば、火星の初期に何が起きたのかわかるかもしれません

火星を完全に理解するためには、この惑星の非常に初期に起きた非常に高エネルギーの衝突が果たした役割をよく理解する必要がある、と研究者は語っています。

初期の太陽系では、かなりダイナミックなことが起こっていたのかもしれません。

惑星と恒星の違いってなに?両方の特徴をもつ褐色矮星の軌道から形成過程が明らかに

reference: phys,SwRI/ written by KAIN
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