実は不健康?古代人の食事は「水銀」に汚染されていたことが判明

history_archeology 2020/02/18
Credit: LOU-FOTO/ALAMY STOCK PHOTO
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  • 新石器時代の食生活における重金属汚染は、現代の安全な数値の20倍以上に達していたことが判明
  • 脳機能や免疫システムに影響を与えるカドミウムや鉛、水銀が主に含まれていた

お菓子、揚げ物、ファストフードなど、現代には健康に悪影響をおよぼす食べ物がたくさんあります。

その一方、加工食品 が存在せずカロリーも低い古代人の食生活は、きっと健康に良いものだったと言われます。

では肉や魚、野菜など、自然のものをメインにした古代の食生活を実践すれば、現代人も今よりずっと健康になるのでしょうか。

ところが今回、ノルウェー・トロムソ大学の研究により、古代人の食生活は、重金属でひどく汚染されていたことが判明したのです。

研究の詳細は、1月28日付けで「Quaternary International」に掲載されました。

Dangerous food. Climate change induced elevated heavy metal levels in Younger Stone Age seafood in northern Norway
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1040618220300203?via%3Dihub

安全な数値の20倍⁈

研究チームは、新石器時代の食生活を調べるため、ノルウェーのバランゲン半島の8カ所を対象に、発掘された骨の分析を行いました。

対象となるのは、古代人の遺骨ではなく、彼らが食べていたタラやアザラシの骨です。これまでの研究から、同地の古代人は、タラやアザラシを主食にし、さらには、イルカやクジラ、シカ、ビーバーなども食べていたことが分かっています。

発掘された約40の骨の年代は、3800〜6300年前にわたっていました。

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そして分析の結果、タラの骨には、高濃度のカドミウムや鉛が混入していることが発覚したのです。具体的に言うと、カドミウムは、EFSA(欧州食品安全機関)が「食肉の中に含まれていても安全」と推奨する最大値の20倍以上、鉛は4倍以上でした。

また、アザラシの骨も同じで、カドミウムは15倍、鉛は4倍におよんでいます。水銀は、どちらの骨にも高濃度に混入していました。

カドミウムは腎臓や肝臓、肺に機能障害を起こす原因であり、鉛は脳や神経系にダメージを与えます。水銀も脳や腎臓、免疫システムに多大な悪影響を与えるため、非常に危険です。

食料汚染は数千年前から始まっていた

こうした自然界にある食物の汚染は、数千年前から始まっていると言われます。

例えば、2015年のある研究では、約6500年前に古代人によって消費された北米沿岸のタラの骨にも、高濃度の水銀が発見されているのです。

水銀は、地球の陸上に自然と生じるものであり、それが海面上昇にともない波にさらわれることで、海中に流出します。それを魚たちが、エラやプランクトンを通して、体内に摂取するのです。

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研究主任のハンス・ピーター・ブランクホルム氏は「汚染物質の量が、古代人にとって致命的ではなかったとしても、健康に悪いことは間違いない」と指摘する一方、「汚染された食生活が、彼らにどれほどの影響を与えたのかは定かでない」とします。

汚染された魚介類以外に摂取していた野菜や果物類が、健康へのダメージを緩和していた可能性も指摘されています。

研究チームは、今後、同地から発掘される人骨をもとに、当時の人々の健康状態や平均寿命を調べていく予定です。

 

reference: sciencemag / written by くらのすけ
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