初めての場所で寝ると脳は半覚醒状態になる

life 2020/02/29
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  • 初めての場所で寝ると、脳の半分が覚醒した状態になる
  • 脳の半覚醒状態は、動物にもみられる保護メカニズムの1つである
  • ぐっすり寝るためには、環境に「慣れる」ことが大切

ホテルや友人のベッドで寝た時、睡眠不足や気怠さを経験した人も多いのではないでしょうか。

初めての場所で寝る時、多くの人の睡眠は浅くなるものです。原因は、脳の半分が覚醒した状態で寝てしまうことにあるのです。

この睡眠中の半覚醒現象は、ブラウン大学の睡眠科学者である玉置應子氏らによって2016年に明らかされています。

彼女たちの研究の詳細は「Current Biology」誌に掲載されています。

Night Watch in One Brain Hemisphere during Sleep Associated with the First-Night Effect in Humans
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(16)30174-9#

初夜効果によって脳の半分は覚醒している

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睡眠学者たちは、人間が初めての場所で寝る時の影響を初夜効果(the first-night effect:FNF)と呼んでいます。

初夜効果は通常の睡眠障害とされてきましたが、その仕組みは完全に把握されていませんでした。

それゆえ、睡眠学者の玉置應子氏はら初夜効果の原因を探るために、高度な神経画像技術を使用して初夜効果があらわれる時の脳の状態を調べました。

調査の結果、人が初めての場所で寝る時には、脳の睡眠活動が非対称パターンを示すことが分かりました。

片方の脳は寝ているのですが、もう片方の脳は覚醒状態だったのです。

もちろん、覚醒している方の脳も完全に目覚めているわけではありません。それでも、寝ている状態の脳よりははるかに活発であり、外部刺激に反応していました。

実際に、初夜効果の影響を受けている人は、ちょっとした音で目を覚ました。軋むドアの音や遠くで鳴いている動物の声などに反応したのです。

人間は初めての場所ではサバイバルモードになる?

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人間が初夜効果によって半覚醒状態になるのは、見知らぬ状況で危険を避けるためだと思われます。

脳の半分を覚醒させておくことで、外敵の接近に敏感になれます。脳がサバイバルモードに移行した状態だと言えるでしょう。

このような保護メカニズムは、動物界の他の生き物にも見られます。

海を漂流するクジラとイルカは、睡眠中は無防備になります。そのため、外敵から不意打ちを受けないためにも、脳の半分だけを休息させているのです。

論文の共著者である佐々木由香氏は、「私たちの脳には、くじらやイルカが持っているもののミニチュアシステムがあるかもしれません」と述べています。

彼女たちの研究で得た知識を活用するなら、初夜効果をオフにすることも可能かもしれません。佐々木氏によると「人間の脳は非常に柔軟です」とのこと。

彼女の述べた通り、初夜効果は脳の認識によって生まれるものです。

初めての場所であっても、2日目からは症状が緩和されます。つまり、初夜効果を受けないためのポイントは、自分がその場所に「慣れる」ことなのでしょう。

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実際に、仕事でたくさん旅行している人たちは、初夜でもぐっすり寝るためのコツを持っているようです。

例えば、ある男性はホテルに着いた後、ホテル内を探索するようにしています。駐車場の周りを歩き、自動販売機を見つけ、朝食がどこで食べられるか調べます。

自分が滞在する場所を把握し、十分慣れることで、初夜効果を引き起こさずにぐっすり眠れるようにするのです。

また、他の人は旅行するたびに同じホテルブランドに宿泊するようにします。どんな旅行先でも、慣れ親しんだ雰囲気の中で寝るためです。

せっかくの旅行で半覚醒になってしまい、頭が冴えない状態が続くのはもったいないでしょう。。就寝前には、環境に慣れておくことで上手に対処できるかもしれません。

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reference: popularscience / written by ナゾロジー編集部
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