前代未聞の「爆発物探知バッタ」が誕生する

science_technology 2020/02/18
Credit: Washington University, St. Louis
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  • バッタの触覚葉(嗅覚中枢)には約5万個のニューロンが存在し、食料探知の他に、危険察知にも使用される
  • この触覚葉に極小の電極を接続することで、爆発性の匂いを探知できるバッタが開発される

バッタは非常に嗅覚が優れた生物で、かつ小型で軽量です。

セントルイス・ワシントン大学の研究により、この特徴を活かした前代未聞の「爆発物検出バッタ」が誕生しました。

狭い隙間に入れて地雷にも反応しないという強みがあります。

また、よく爆発物探知に利用される犬より数も多く、代替え要員がすぐに準備できるのも利点の一つでしょう。

この研究は、2016年に同大学がアメリカ海軍研究事務所から委託されたもので、テロ対策や爆弾処理を目的としてスタートしています。

詳細は2月11日付けで「bioRxiv」に掲載されています。

Explosive sensing with insect-based biorobots
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.10.940866v1.full

史上最小の爆弾処理班?

バッタは頭に生えた触覚で匂いを探知します。この触覚が非常に優秀で、食料探し以外に危険察知にも使われます。

触覚から得られたデータは、およそ5万個のニューロンを備えた「触覚葉(antennal lobe)」という脳領域に送られ、嗅覚情報に変わります。

このことから、バッタの嗅覚は爆発物を検出する能力として、これまで製作されたどのデバイスよりも優れているのではないかと考えられたのです。

そこで研究チームは、アメリカン・グラスホッパー(Schistocerca americana)を用いて、触覚葉に極小の電極を埋め込みました。

アメリカン・グラスホッパー/Credit: en.wikipedia

バッタに接続した「バックパック・センサー」は、バッタの神経活動をリアルタイムで記録して、コンピューターに転送します。送られてきたデータをコンピューターが解釈することで、爆発物の匂いを識別するという仕組みです。

研究チームは実証テストとして、触覚葉に接続した電極に、数種類の匂い付き蒸気を吹き付けました。

爆発物の匂いとして、ダイナマイト(TNT)と2,4-ジニトロトルエン(DNT)。対照群として、温風およびベンズアルデヒド(アーモンドの特異な香り成分)を使用しています。

実験のイメージ図/Credit: biorxiv.org

最初こそ、送られてきたどの神経活動パターンが爆発物に相当するかを見極めるのに時間がかかったものの、慣れてからは、爆発物と他の匂いとの識別が可能になりました。

結果、バッタは、電極が埋め込まれてから最大7時間の間に、60%の精度で爆発物検知に成功しています。一方で、それ以上の時間が経過するとバッタが死んでしまうことも分かりました。

また、実験スペース内にあらかじめ匂いを付着させておいて、その中をバッタが移動することで爆発物を探知できるかというテストも行われています。電極を装着したバッタは動けなくなるため、車輪付きの台に乗せて、遠隔操作で移動されました。

それでも、バッタの嗅覚は非常に優れており、実験スペース内における爆発物濃度が最も濃いポイントを高確率で検出しています。さらに、7匹1組でテストすると、検知成功率は80%にまで高められました。

実用化にはまだ改善点があるものの、近い将来、史上最小の爆弾処理班として活躍する日が来るかもしれません。

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reference: zmescience / written by くらのすけ
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