「太陽より乾燥している」はずの木星大気、太陽の3倍の水分量を保持

space 2020/02/21
junoによって2017年9月1日に撮影された木星南赤道地域の画像。この画像では極点が左右に来る。/Credit:NASA / JPL-Caltech / SwRI / MSSS / Kevin M. Gill
point
  • 探査機ジュノーの調査で、木星の水の存在に関する新しい発見が報告された
  • 過去の調査では、木星は太陽より乾燥していると言われていた
  • 惑星の吸収している水分量は、惑星の形成や気象、内部構造について重要な意味を持つ

木星は太陽系で最初に形成された惑星と考えられていて、その組成には太陽に取り込まれなかった塵やガスの大部分が含まれています。

かつて、探査機ガリレオの調査では、木星は太陽と比較して非常に乾燥している可能性があるという結果を示されました。

太陽と比較して乾燥しているとは、なんだかおかしな表現に聞こえますが、これは液体の水ではなく、その元になる水素や酸素の存在に基づいて指摘しているものです。

このため、木星大気に含まれる水の総量を推定することは、長年に渡って惑星科学者たちの興味の対象となっていました。

探査機ジュノーのもたらした最新の調査結果では、木星大気中の分子の約0.25%が水であり、その量は太陽の3倍にあたると推定しています。

この調査結果は、ジュノーの科学チームから発表され、天文学に関する科学雑誌『Nature Astronomy』に2月10日付けで掲載されています。

The water abundance in Jupiter’s equatorial zone
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1009-3

探査機ガリレオによる測定

1995年12月木星軌道へ到達した探査機ガリレオ。2003年9月に木星大気圏落下を実行してミッションを終了した。/Credit:NASA

探査機ガリレオは、1995年12月にプローブ(探針)を木星内部に打ち込み、信号が停止するまで57分間大気圏内の調査を行いました。

その際、ガリレオの探針は木星大気内を120キロメートルの深さ(約22気圧)まで測定し、木星大気の水分量が当初の予想より10分の1も少ないことを明らかにしました。

想像以上に木星の水分が少ないことに科学者たちは落胆しましたが、この計測では限界深度でさえ水分量が上昇しているように見えるデータをもたらしました。

通常、十分に混合された大気では、含水量がどの地域でも一定の値になります。それは世界全体の平均値になるのです。

しかし限界深度でさえ水分量が変動していたということは、木星大気が雲の中でさえ思ったほど混合されていなかったという事実を示しています。

これは予想と異なり、木星大気は地域によって水分量が変動していて、ガリレオの調査は、不運にもたまたま乾燥した地域を測定しただけだった可能性を示唆しています。

そのため、ガリレオの調査以降、惑星科学者たちは木星全体の正確な水分量を推定したい、と熱望するようになったのです。

そして、探査機ジュノーによる測定

探査機ジュノーは2011年に打ち上げられました。

ガリレオ探査の教訓から、ジュノーは木星全体の広い地域を測定することを目指しました

ジュノーは深宇宙の惑星探査に利用されるマイクロ波放射計(MWR)のアンテナを6つ搭載していて、上空から複数の深さの木星大気温度を、同時に測定できます。

温度を測定してどうするんだ? と思うかもしれませんが、マイクロ波放射計は温度測定で水の存在を発見する装置です。

これは、水が特定波長のマイクロ波を吸収する、という性質を利用しています。要するに電子レンジで食品を加熱するのと同じ原理です。

温度測定はマイクロ波放射を吸収した分子量を特定し、深大気中の水とアンモニアの量を特定するのです。

木星は厚い雲に覆われている。マイクロ波はこうした雲を透過して大気深部を測定できる。Credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. Gill

ジュノーの科学チームは、最初の8回の調査飛行で収集されたデータを使い、今回の発見を行いました。

調査は木星の赤道域に対して集中的に行われました。これは赤道域の大気が他の地域より、よく混合された状態に見えるためです。

ジュノーの調査は、深度150キロメートル(約33気圧)に達するガリレオよりもさらに深い木星大気まで行われました。

その結果、赤道の水分はガリレオが測定したものよりずっと多いことがわかりました。

木星の赤道付近は非常に独特の環境であるため、正確なことは、木星のもっと別の地域も測定して比較しなければわかりません。

現在ジュノーはゆっくりと北上して北半球の調査を進めています。

科学チームは、木星の水分含有量が緯度や地域によってどのように変化するのか、また巨大な嵐の吹き荒れる局地ではどの様になっているのかを、今後調査していきます。

木星に接近する探査機ジュノー。/Credit: NASA/JPL-Caltech

木星調査は、科学者にとっては新しい発見の連続だと言います。ジュノーは、4月に25回目の調査飛行を行う予定です。

 

reference: NASA, Phys/ written by KAIN
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