新型コロナの「ヒトの細胞にくっつく吸盤」のような構造が解明!ワクチン開発に貢献

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Credit:大阪大学微生物病研究所

世界各地で猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、ワクチン開発につながる大きな進展がみられました。

米国の研究者たちによって、新型コロナウイルスの表面にある「スパイク」と呼ばれる、突起状のタンパク質の3次元的な構造が明らかになったからです。

スパイクはまるで「吸盤」のように外側に向けて広がった形をしています。

新型コロナウイルスによる感染は、この「吸盤」の上部分がヒト細胞にくっつくことで始まります。

またワクチンを開発するには、このスパイクの構造を理解することが必要不可欠となります。

スパイクの構造解析によって、抗ウイルス薬やワクチンの開発は進展するのでしょうか?

コロナウイルスの感染方法

ウイルスの増えるしくみ/Credit:近畿大学病院

一般的に、ウイルスによる感染が成立するには、ウイルスの体がスパイクによって、細胞に結合する必要があります。

結合した次は、ウイルスの表面分子の出番です。この表面分子にはヒト細胞を混乱させる働きがあり、混乱した細胞がコロナウイルスを自分の一部だと認識し、内部に取り込んでしまうのです。

細胞内への侵入に成功すると、コロナウイルスは自分の遺伝子を細胞の中に吐き出します。

新型コロナウイルスの遺伝子には、細胞の遺伝子をジャックする能力があり、ジャックされた細胞はウイルスの生産をはじめるようになります。

そうして生産されたウイルスは、細胞の外へと排出され、また別の宿主となる細胞を探すことになります。

新型コロナウイルスの広まりやすさの原因か?

スパイクたんぱく質の構造。上の広がっているほうでヒト細胞に吸着する/Credit:Science

新型コロナウイルスのスパイク構造を解析するために、研究者は直接タンパク質の構造を撮影できるクライオ電子顕微鏡を用いました。

結果、新型コロナウイルスのスパイク構造はSARSと非常に似ていることが判明。

このことから、研究者はSARSの抗ウイルス薬が、コロナウイルスにも有効だと考えました。しかし実際に実験を行ってみると、SARSの抗ウイルス薬はコロナウイルスには全く効きませんでした。

新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質の配列情報は、SARSのものと98%一致していたものの、僅かな変異で耐性を獲得していたのです。

さらにコロナウイルスは変異によって、結合力も進化させていました。

新型コロナウイルスのスパイクはSARSのスパイクよりも、ヒト細胞に対して10〜20倍の高い親和性(結合しやすさ)を持っていることが分かったのです。

研究者は新型コロナウイルスのこの高い結合力が、伝染力の高さに影響していると述べています。

ワクチン開発への道

Credit:depositphotos

新型コロナウイルスの世界的な広がりは、一刻も早い抗ウイルス薬とワクチンの開発を求めています。

今回の構造解析により、新型コロナウイルスは変異したスパイクを武器に耐性と高い伝染力を身に着けていたことがわかりました。

この武器を邪魔する方法がわかれば、ウイルスに対して特効薬となる抗ウイルス薬となるでしょう。

また免疫に学習をさせるワクチンの開発にもつながります。

私たちに馴染み深いインフルエンザのワクチンなどは、その年に流行るとされるウイルスのスパイク部分を濃縮したものが含まれています。

免疫がスパイクを異物だと学習することで、本物の生きたウイルスに感染しても素早く対処できるようになります。

ただワクチン完成には最短でも1年半から2年かかるとされており、その間は自己防衛するしかなさそうです。

この研究結果はテキサス大学のダニエル・ラップ氏らによってまとめられ、2月19日に学術雑誌「Science」に掲載されました。

point
  • コロナ19の表面にあるスパイクの3次元構造が明らかになった
  • コロナ19はヒトの細胞にスパイクを使って侵入する
  • コロナ19はサーズより20倍、ヒトの細胞にくっつきやすい

コロナウイルスの黙示録的な広がりをリアルタイムで追跡するサイトが公開

reference: livescience / written by ナゾロジー編集部
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