「舐めるワクチン」が開発される!2年後には流通目指す

medical 2020/03/06
Credit:Stephen C. Schafer
point
  • フィルム型ワクチンは長期保存可能で、ワクチン接種を容易にする
  • 新しいワクチン接種は、世界中で一般的に行われている筋肉注射と同等以上の効果が期待できる
  • フィルム型ワクチンの流通は2年以内かもしれない

現在、コロナウイルスに対する効果的なワクチンの特定作業が続けられていますが、特定後も「製造と配布」という課題が待っています。

主流である注射型ワクチン接種には、多くの注射器と針が必要です。また、「病院で注射してもらう」というプロセスは、多くの人を予防接種から遠ざけています。実際に、2018年では世界で1,350万人の子供が予防接種を受けていませんでした。

テキサス大学オースティン薬科大学の研究グループは、キャンディーのように舐めるだけのワクチン接種法を開発しました。

この方法が一般化されるなら、ワクチンの大量出荷とコスト削減が実現できます。接種方法も簡単なので、接種率も劇的に向上するでしょう。

研究の詳細は3月4日、「Science Advances」誌に掲載されました。

Novel technology for storage and distribution of live vaccines and other biological medicines at ambient temperature
https://advances.sciencemag.org/content/6/10/eaau4819

口内で溶かすだけ!新しいキャンディー型ワクチン

一番上の層は保護層で、使用直前に剥がす。中央の層は無毒化したウイルスの体の一部が安定化剤に包まれており、ここをなめるとワクチン接種となる。一番下の層は中央部分を支える基盤で、口の中でオブラートのように一緒に溶けるようになっている/Credit:Stephen C. Schafer

新しく開発されたワクチン接種方法は、ワクチンをキャンディー状の製材の中に閉じ込め、それをフィルムで挟んで保護したものです。

フィルムを口の中に入れ、舌下や頬の位置に置くと、フィルムが急速に溶解して中のワクチンが接種される仕組みです。

ワクチン接種とは、ウイルスの一部を体内に接種することで、ウイルスそのものに対する抗体を身体に作らせる方法です。

舌下および頬側経路によるワクチン投与は、従来の筋肉注射と同様または、それ以上の抗体反応を誘発しました。

Credit:Stephen C. Schafer

キャンディー型ワクチンは「保存しやすい」というメリットもあります。

通常、保存されたワクチンは、時間経過とともに効力が失われます。効力をできるかぎり維持させるためには、継続的に冷蔵する必要があります。

しかし、継続的なワクチン冷蔵は難しいケースが多く、費用がかかります。世界の一部の地域ではほとんど不可能です。

新しく開発されているキャンディー型ワクチンは冷蔵を必要としません。常温で保存できるので、ワクチンの貯蔵寿命を大きく引き伸ばし、世界中への配布が可能になります。

キャンディー型ワクチン流通までの道のり

Credit:depositphotos

キャンディー型ワクチンのアイデアは、あるドキュメンタリー番組を見た研究員から生まれました。

「昆虫のDNAが琥珀の中で何百万年も保存されている」という内容から、同様の方法をひらめいたのです。

このアイデアを実現すべく、研究が開始されました。

砂糖や塩などの天然成分を含むさまざまな調合物を混ぜて、琥珀のように生物を閉じ込めることができる製剤を作成しようとしたのです。

1年間で450回にも及ぶテストの結果、「ウイルスや細菌を閉じ込めることのできる製剤」を開発し、その製剤を「保護フィルムで包む」という方法を生み出しました。

加えて、生産プロセスの簡素化も可能になりました。生産プロセスには広範な技術トレーニングは必要ありません。素早く作成することが可能で、朝にワクチンを作成したなら、昼には出荷できるほどです。

キャンディー型ワクチンが一般化するなら、医療従事者たちは、ワクチンの入った封筒を配布するだけで済みます。注射器や針などのワクチン接種後のゴミも残りません。

研究者によると、この技術は今後2年以内に市場に投入することを目指しているようです。将来は、注射に泣き叫ぶ子供の姿が減っていくのかもしれませんね。

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reference: theconversation / written by ナゾロジー編集部
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