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「空から炎が…」人類最古の居住地が彗星の落下によって壊滅していた可能性

2021.01.28 Thursday

2020.03.10 Tuesday

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Credit: news.ucsb.edu
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  • 人類最古の居住地「テル・アブ・フレイラ(シリア北部)」は、彗星の落下により壊滅したことが示唆される
  • その時期が約1万2800年前の「ヤンガードリアス」の始まりとリンクしていることが判明
  • 本研究は、ヤンガードリアスの発生原因が、彗星の落下にあることを示すものとしても重要

シリア北部にある古代遺跡「テル・アブ・フレイラ」は、人類が居住した世界最古の集落として有名です。

また、先行研究により、約1万3000年前に穀物栽培の痕跡が発見されており、現在のところ、人類最古の農業の例にもなっています。

そんなテル・アブ・フレイラについて新たな事実が発覚しました。

カリフォルニア大学によると、テル・アブ・フレイラは約1万2800年前に彗星落下によって壊滅していた可能性が高いというのです。

しかもこの彗星は、ヤンガードリアス(同時期の急激な寒冷化現象)を引き起こした原因とも指摘されています。

研究の詳細は、3月6日付けで「Scientific Reports」に掲載されました。

Evidence of Cosmic Impact at Abu Hureyra, Syria at the Younger Dryas Onset (~12.8 ka): High-temperature melting at >2200 °C
https://www.nature.com/articles/s41598-020-60867-w

サンプル中に謎の「ガラス状物質」

テル・アブ・フレイラはかつて、シリア北部・アレッポから東に120キロ離れたユーフラテス川中流の台地上にありました。しかし、1973年の巨大ダム建設により、現在はアサド湖の底に眠っています。

湖が形成される以前に、遺跡から、住居の残骸や穀物、食物、当時使われた道具の数々が発掘されており、それをもとに研究が進められていました。

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Credit: Scientific Reports (2020)

その中で最も重要な事実は、採集したサンプルに超高熱を受けて形成されたと思しきガラス状物質が見つかったことです。これは、当時の人類が生み出せるような温度ではありません。

物質内の化学組成や形状、形成温度などを分析した結果、クロムや鉄、ニッケル、チタン、さらにはプラチナやイリジウムを豊富に含む溶解鉄が特定されました。

また、形成温度は、すべて摂氏2200°C以上だったことも分かっています。

研究主任のジェームズ・ケネット名誉教授は「この温度は、自動車を1分とかからずに溶かしてしまうほど」と指摘します。

次ページ「ヤンガードリアス」を引き起こした彗星か?

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