仮説上の存在だった「涙のしずく型」のニュータイプ星がついに発見される

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涙みたいな形の星「HD74423」のイメージ画像/ Credit: Gabriel Pérez Díaz/IAC
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  • 仮説上の存在だった新しい恒星が1500光年先に発見される
  • 近距離にある伴星の重力により涙型に変形しており、さらにその部分だけに光の脈動が見られる

地球から1500光年の場所に、まったく新しいタイプの星が発見されました。

星は涙のしずく型をしており、片側だけが脈動変光するという他に類を見ないものです。

研究チームの天文学者ドン・クルツ氏(セントラル・ランカシャー大学、英)は「1980年代からこの種の星の存在は仮定されてきましたが、実際に見つかったのは今回が初めて」と話します。

研究の詳細は、3月9日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

Tidally trapped pulsations in a close binary star system discovered by TESS
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1035-1

星の基本スペック

星は「HD74423」と命名されており、分類としてはA型主系列星に属します。

スペクトルがA型の主系列星のことを指し、質量はおおよそ太陽の1.4〜2.1倍、表面温度は7600K〜10000Kの間です。

HD74423に関しては、太陽のおよそ1.7倍の質量を持ち、年齢は正確には不明ですが、太陽より若いことが判明しています。

HD74423は、アマチュア天文家がNASA所有の宇宙望遠鏡「TESS(トランジット系外惑星探索衛星)」から得られたデータを調べている際に発見されました。正体がよく分からなかったため、プロの天文学者であるクルツ氏らの研究チームに引き継がれています。

どこが奇妙なのか?

脈動する光を放つ恒星はめずらしくありません。

むしろ、ほぼすべての恒星が、内部の対流や磁場から生じる一種の波によって周期的に明滅しています。これらの星に共通する点は、年齢やサイズ、脈動の長短に関係なく、星の全球面にわたって脈動が見られることです。

ところが、HD74423は半球面の先端でしか脈動していなかったのです。

右が伴星/ Credit: Gabriel Pérez Díaz/IAC

この奇妙な特徴は、HD74423が持つ赤色矮星の伴星にあります。

両者は互いの周囲をわずか1.6日で公転するほど近距離にあり、その近さゆえに、伴星の重力がHD74423を歪めて横向きの涙型に変形させていました。

片側だけが脈動するという理由も、これにあると考えられます。

さらに、HD74423は、保有する化学物質の点から見ても奇妙です。

通常、この種の星は金属を豊富に含むことで知られますが、HD74423は金属量がきわめて低いことが判明しています。

金属性が低い理由としては、まったく同じ特徴を持つ「うしかい座ラムダ型星」のように、星周囲の金属を失ったガスを吸い上げているからでしょう。

ただし金属成分の少なさが、特異な形状や光の脈動のあり方に関係しているかは分かりません。

まだまだ不明な点も多く、今後も調査が続けられるとのことです。

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reference: sciencealertcnn / written by くらのすけ
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