非常に珍しい「クジラ墨」を吹き出して海を染めるオガワコマッコウの動画が撮影される

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Credit:SAPeople
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  • 南アフリカのケープタウンで、非常に珍しいオガワコマッコウクジラの撮影に成功した
  • 「オガワコマッコウ」は、敵から逃げるために、イカ墨のような液体を放出する

南アフリカのケープタウンの浅瀬で、めったに見ることのできない希少な光景が撮影されました。

コマッコウ属である小型のクジラ「オガワコマッコウ(学名:Kogia sima)」がイカ墨のような液体「クジラ墨」を放出して、敵のアザラシから逃げようとする場面が撮影されたのです。

米国海洋大気庁(NOAA)の鯨類学者のカーリーナ・メルケンス氏は、この希少映像について3月14日に海外メディア「Science Alert」でコメントしています。

Incredibly Rare Footage Shows a Dwarf Sperm Whale Spray Ink as It Flees an Attack
https://www.sciencealert.com/rare-deepwater-whale-filmed-spraying-a-cloud-of-ink-to-flee-an-aggressive-seal

「イカみたいな戦術」で逃げる最小のクジラ

オガワコマッコウ。実は好物も「イカ」 / Credit:Citron/Wikimedia/CC BY-SA 3.0

オガワコマッコウは体長2.7m、体重250kgの「最小のクジラ」です。

通常250m〜1,500mの深海に生息している内気な生き物で水面で見かけることはほとんどありません。

当然、船にも近づかないため、オガワコマッコウに関するデータは乏しいのが現状です。

しかしオガワコマッコウといえば、他のクジラとは大きく異なった特徴が知られています。

捕食者から逃げる時に、大量の液体を放出して「目くらまし」をするのです。

Credit:SAPeople

一体、この液体の正体は何なのでしょうか?

腸内に蓄えた「クジラ墨」

オガワコマッコウの腸内には、暗赤色の液体が含まれる袋状の器官があり、敵の脅威を感じると、ここから11リットルを超える液体を一気に放出します。

放出された液体は下の動画のように瞬く間に一面に広がり、捕食者の視界を奪うため、その間に素早く逃げられるのです。

ただし前述したように、ふだんは深海に潜んでいるため、今回のように動画が撮影されることは滅多にありません。

生涯ほとんどの時間を深海での狩りに費やすという説もあるほど、謎に包まれた生物なのです。

彼らがこれほど長時間深海で暮らせる秘密は、マッコウクジラがもつタンパク質に隠れています。

マッコウクジラは全身の筋肉に、大量のミオグロビンというタンパク質を保有しており、ここに大量の酸素を蓄えることで、1時間呼吸無しで潜ることもできます。

そうすることで肺を空にして、深海の水圧を受けずに活動できるというわけです。

以前紹介した出身地のご当地ソングを交換するクジラといい、彼らの習性には興味が尽きませんね。

まさかの異種間養子縁組。孤児のクジラを引き取った母イルカに専門家も驚き!

reference: sciencealert / written by ナゾロジー編集部
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