小惑星リュウグウはスポンジみたいにスカスカだった。はやぶさ2が新たに発見

space 2020/03/18
©Okada et al., Nature 2020
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  • 当初の予想に反して小惑星リュウグウは隙間だらけの多孔質であることが判明した
  • リュウグウは原始惑星が衝突で崩壊した欠片と考えられる
  • 一部は高密度なことが確認されていて、それは原始惑星のコアだった可能性がある

小惑星リュウグウを調査したJAXAの探査機、「はやぶさ2」の探査活動の研究結果から、新たな発見が報告されました。

それはリュウグウの構造が、スカスカの軽石のような多孔質だったという事実です。

小惑星リュウグウは太陽系初期の天体と考えられていて、いわば宇宙の化石です。その構造を知れば、原始惑星の構造や、惑星形成過程の様子を知ることができます。

低密度な多孔質構造は、初期の天体がふわふわとしたダストの集積で作られたことを裏付けており、それは原始惑星のありふれた構造であった可能性を示唆しています。

この事実は、惑星形成の速度を考える上でとても重要です。ひょっとすると、惑星形成の速度は私たちが考えているより早かったかもしれないのです。

この報告は小惑星探査機「はやぶさ2」の調査活動に基づく研究成果として論文にまとめられ、科学雑誌『Nature』電子版に2020年3月16日(日本時間3月17日)に掲載されています。

Highly porous nature of a primitive asteroid revealed by thermal imaging
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2102-6

温度で密度を測定

リュウグウの一日の最高温度分布(左)。左図のポイントごとの一日の温度変化(右)。/Credit:Okada et al., Nature 2020

小惑星の密度がどのようになっているかは、温度変化や最高温度の分布を調べることから得られます。

上の図は「はやぶさ2」が搭載した中間赤外線カメラTIR(要はサーモグラフィー)による撮影映像です。

温度変化の性質は熱慣性と呼びますが、このデータを分析すると、リュウグウ表面は熱慣性が極めて低いと言う結果になりました。

これは、リュウグウ表面が非常に温まりやすく冷めやすい性質であることを示しています

この性質について、より詳しくモデル化すると、リュウグウは極めてスカスカの多孔質(低密度)な物質で、凹凸が激しいということがわかります。

しかし、画像の下部は赤くなっており、最高温度が高いことがわかります。この付近は温度変化も急激に起きていないようです。これはこの部分の密度が高いことを示しています。

一部が高密度になっている理由は、一体何なのでしょう?

リュウグウはどうやって形成されたのか?

リュウグウ形成シナリオ /JAXA/ Credit:Okada et al., Nature 2020

地球のような岩石の惑星は、太陽系初期に漂っていたダストが集合して形成されたと考えられています。

リュウグウは、こうしたダストから天体が形成される過程の状態が保存された、いわば天体の化石と呼ぶべき存在です。

研究者たちが推測する、そんなリュウグウの形成シナリオは次の通り。

まずふわふわなダストが集まり、低密度のスカスカな微惑星が形成されます。これがさらに集まってリュウグウの母天体が形成されます。このとき中心部では圧力が高まり、密度の高いコアのようなものが形成されます。

初期の太陽系は非常に多くの小惑星、微惑星がぶつかり合う暴力的な環境だったため、このリュウグウ母天体は別の天体との衝突により破壊されます

外層は吹き飛び、中央部分も露出した状態になります。この飛び散った岩塊は再度集積して、ラブルパイル天体(破砕集積体)が形成されます

リュウグウがひし形の理由は、形成初期のリュウグウの自転速度が早かったため、赤道部分が膨らんだと考えられます。その後、自転は何らかの要因で遅くなり現在のリュウグウになったと考えられます。

先程の一部が高密度の性質を示した理由は、その部分がリュウグウ母天体(原始惑星)のコア部分だったためだと考えられるのです。

惑星は思ったより早く形成されている?

現在、ダストの集積から惑星が形成されることは予想されていますが、その詳しいメカニズムは分かっていません。

リュウグウの多孔質構造は、初期の太陽系の天体では一般的な構造であった可能性があります。

もし原始惑星のほとんどが多孔質だったとすると、これまで考えられていた密度の高い原始惑星よりも、崩壊しやすいが、容易に元の状態に戻れる可能性があるといいます。

この事実は、惑星形成のタイムスケールを大幅に変更するかもしれません。

研究者たちの考えでは、当初予想していたよりも、惑星は早く形成されていた可能性があるのだといいます。

小惑星の調査から、より大きな惑星の形成過程が徐々に明らかになっていくようです。

【朗報】7年前に探査機はやぶさが持ち帰ったサンプル分析結果、ついに判明!

【編集注 2020.03.18 09:10】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。
【誤】はやぶさ2の持ち帰ったサンプルから→【正】探査活動の研究結果から
reference: sciencenews,JAXA / written by KAIN
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