新型コロナウイルスを倒すため、みんなのPCの力を集めるプロジェクトが発足

story_fun 2020/03/18
みんなの演算力をわけてくれ! / Credit:silhouette-illust
point
  • 新型コロナウイルスのスパイク構造の折りたたみ過程を世界中のパソコンを使って調べるプロジェクトが始まった
  • プロジェクトはSETIと同じく分散型コンピューティングで行われる
  • 新型コロナウイルス以外の病気にも貢献できる

毎日、新型コロナウイルスの暗い話題ばかりで、そろそろ辟易してきた人には朗報かもしれません。

個人のパソコンを使って、新型コロナウイルスと戦うプロジェクトが発足しました。

この戦いに参加するには、アメリカのスタンフォード大学の研究者によって開発された「Folding @ home」というアプリをパソコンにインストールして実行ボタンを押すだけです。

「Folding @ home」はタンパク質の折りたたみ過程を調べるために開発されたアプリです。世界中の人のパソコンの演算力を合わせることで、新型コロナウイルスの表面にある「スパイク」と呼ばれるタンパク質の形成過程を調べることができます。

もしあなたのパソコンが遊んでいるなら、戦いの最前線にいる研究者に「元気」という名の演算力をわけてあげるのもいいかもしれません。

「Folding @ home」は以下のサイトで、WindowsとmacOSの両方のバージョンをダウンロードできます。また、本記事の下部では、実際のインストール・使用方法も記載しています。

Folding @ homeが動く仕組みは「SETI」と同じだった

SETIの電波望遠鏡とデータ分析のイメージ/Credit:depositphotos.wikipedia

Folding @ homeが働く仕組みは、かつて地球外知的生命体探査(SETI)によって行われた手法と同じです。

分散型コンピューティングと呼ばれるこの方法は、膨大な計算を必要とする問題を、世界中の人の持つパソコンの演算力を合わせることで解くことができます。

「SETI」においては、地球外から届く無数の電波の中から、知的生命が通信に使うと思われる、規則正しいパターンを探し出すために、分散型コンピューティングが行われました。

参加者は全世界で520万人に及び、この試みによって得られたは観測された電波の分析を超えて、世界中の人々のパソコンを一つの目的の為に使うための実証実験にもなりました。

Folding @ homeによるプロジェクトでは、新型コロナウイルスの表面にある「スパイク」と呼ばれるタンパク質の形成過程をシミュレートすることになっていますが、この形成過程を解くにも膨大な演算能力が要ります。

そのためSETIと同じように、世界中の人々のパソコンから演算能力を少しずつ借りることにしたのです。

多くの人のパソコンの演算力が合わされば、どんなスーパーコンピューターよりも早く計算が進めることが可能となります。

コロナウイルスはスパイクを使って細胞に吸着、侵入する

左がコロナウイルスの構造を描いた二次元の模式図。右が三次元のイメージ。跳び出ている部分がスパイク構造。/Credit:大阪大学微生物研究所.depositphotos

新型コロナウイルスの表面にあるスパイクは、人間の細胞を認識し、吸着して、細胞を騙して侵入する機能があります。

ですがスパイクの構造はとても複雑で、さらに動的な変形機能も持っています。スパイク構造について詳しく知りたい人はこちらの記事を参照してください。

今回のFolding @ homeを使ったプロジェクトでは、ターゲットとするタンパク質は同じスパイクですが、調べる内容は構造ではなく「折りたたみ」と呼ばれるタンパク質の形成過程になります。

タンパク質はアミノ酸が連なった長い一本の分子の線を、三次元的に折りたたむことで構築されます

 

タンパク質はアミノ酸の連なった一次元的な線を元にしている。ここから、まずはアミノ酸の正負の電荷により、最初の三次元的な構造が構成される/Credit:東京大学.新井研究室

折りたたみには正負の電極が異なるアミノ酸同士による自然な変形の他、他のタンパク質の助けを借りる非単独な変形も含まれています。

そのため、計算パターンは膨大になります。

ですが、この折りたたみの過程を調べることは、構造を調べることと同じくらい、薬の開発にとって重要です。

折りたたみの過程が解明されれば、ウイルスが折りたたみによってスパイクを作ろうとするのを効果的に邪魔することができるからです。

スパイクが不良品となれば、ウイルスは人間の細胞が認識できなくなり、感染力を失います。

今回のプロジェクトは全世界のパソコンの演算力を合わせた圧倒的演算力を利用します。

調査形式はSETI型であるために、参加者は以前のようにゲーマーである必要はありません。

実際に「Folding @ home」をインストールしてみよう

Credit:foldingathome

「Folding @ home」のダウンロードは公式ページからダウンロード可能です。

Credit:foldingathome

ダウンロードはWindowsとmacOSの両方のバージョンが可能です。

今回は「Windows10」を選んで進めてみます。

ダウンロードしたらファイルをダブルクリックで実行します。

するとインストールへと進みます。

もちろん規約は最後まで、きちんと読んでください。

同意ができたら「I Agree」ボタンを押します。

インストールの方法を選択できます。

特にこだわりがないなら上の「Express install」が推奨されています。

インストールする場所を好きに選びたいなら「Custom install」を選択します。

この画面が出てきて「Finish」を押せば、インストール完了です。

なお、このプログラムは外部からデータを受け取り、解析結果を送信する送受信を自動で行います。

そのため、画像の様なセキュリティー警告が出てくると思われます。

ここでセキュリティーに許可を与えないと、情報の送受信ができなくなりますので許可してください。

すると次に、アカウントを作成するかどうかの選択とスタートボタンが現れます。

匿名戦士として参加するのか、名前を登録するのかは、どちらでも良さそうです。

Credit:foldingathome

次は基本的な使い方を説明します。

「Start Folding」のボタンを押すと、管理画面に移行します。

Start Foldingと書かれた赤いボタンを押すと演算が始まり、Stop Foldingを押すと止まる。「Folding」とは折りたたみのことである/Credit:foldingathome

画面の左右にはCPU(コア)とGPU(グラフィックボード)の処理負荷が表示されます。

ここで注意すべきは、自分のパソコンにどれだけ働かせるかです。

当然、働けば働くほどパソコンの負荷は高くなります。

また高性能なグラフィックボード(GPU)を昼も夜もフルパワーで動かすと、一日あたり100円以上の電気代がかかります。

あまり負荷や電気代をかけたくない場合は「Power」のスライドバーを調節してLight側にするといいでしょう。

Credit:foldingathome

なお、Folding @ homeには新型コロナウイルスに対してだけではなく、アルツハイマー病、癌、ハンチントン病、パーキンソン病なども扱っており、設定を変更するだけで参加したい病気の解析先を選べます

新型コロナウイルスに対する演算を開始するには、一番上にある選択項目の中から「Any disease」を選択し、実行ボタンを押すだけです。

これで、あなたも新型コロナウイルスに対して「個人的」で「ダイレクト」な攻撃が可能になります。

あなたのパソコンから導き出されたデータが有望ならば、実際に研究機関での実験に使われ、薬になります。

ちょっとした寄付のつもりで、パソコンで世界を救ってみるのも悪くないかもしれません。

新型コロナウイルスを「オンラインゲーム」で無毒化する計画が進行中

reference: sciencealert / written by katsu
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