廃タイヤから新素材「ゴム製エアロゲル」の作製に初成功!超軽量で高耐久

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Credit:NUS
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  • 廃タイヤからゴム製のエアロゲルが世界で初めて作製される
  • ゴム製エアロゲルは柔軟性に優れており、これまでのエアロゲルの「脆さ」という欠点を克服した
  • 高い断熱性、防音性に加えて、超軽量で発泡スチロールよりも硬い

便利な材料の開発は、科学技術を次の段階へと推し進めてくれるものです。ただし、環境問題を考慮することを忘れてはなりません。

超軽量で、耐久性が高く、断熱・防音性に優れた、尚且つ「環境にやさしい」という、まるで夢のような材料を作り出すことはできるでしょうか?

シンガポール国立大学(NUS:National University of Singapore)のナン・ファン・ティエン教授らの研究チームは、それらの機能すべてを備えた汎用性の高い材料の開発に成功しました。

世界中にある廃タイヤからゴム製のエアロゲルを作製したのです。これは世界初であり、費用対効果の点からも商業化が期待されています。

研究の詳細は科学誌「Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects」に掲載されています。

Advanced fabrication and multi-properties of rubber aerogels from car tire waste
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0927775719305497

多孔性構造「エアロゲル」

エアロゲルの走査電子顕微鏡画像の例/Credit:jfcc

エアロゲルとは、多孔性(微細な空洞がたくさんある)の物体であり、スカスカの内部構造を持つ構造体の名称です。

「エアロゲル」は構造名なので、様々な成分からなるエアロゲルが存在します。これまで、二酸化ケイ素やカーボンを素材とするエアロゲルが作製されてきました。

これらは、ゲルの水分を抜くことで作製されます。

「ゲル」と聞くと、ゼリーや豆腐、こんにゃくのようなゲル状の物質を思い浮かべるでしょう。

通常、それらのゲルを乾燥させて水分を抜くとどうなるでしょうか? 豆腐が高野豆腐になるように、ほとんどのゲルは骨格が変形し萎んでしまいます。

しかし、「超臨界乾燥」と呼ばれる特殊な技法で乾燥させるなら、「ゲル」は湿潤時と同じ構造をナノレベルにまで保持できます。構造を保った乾燥ゲルは、中に水分ではなく空気が含まれた状態になり、これを「エアロゲル」と呼ぶのです。

エアロゲルの内部のほとんど(90~98%)は空気なので、非常に軽く、優れた断熱性を持っています。

非常に有用な材料のように思えますが、作製コストの高さや脆さという欠点が普及を阻んでいました

廃タイヤをリサイクルする

Credit:NUS

研究者たちは、エアロゲルの特性を生かしつつ、「脆い」という弱点を克服するために、新たな素材を探していました。

そして、安価で豊富な原料としての「廃タイヤ」に目を付け、ゴム製のエアロゲルに注力したのです。

毎年、世界中で約10億の廃タイヤが生まれています。リサイクルされるのはたったの40%であり、焼却されるのは49%です。残りの11%は埋め立て地を作るために埋められています。

廃タイヤをエアロゲルに活用するなら、リサイクル率を向上させることができるでしょう。

加えて、ゴム製エアロゲルの作製プロセスも、シンプルで費用対効果が高く、環境にやさしいものです。

最初に、廃タイヤは細かい繊維にされ、水と少量の化学架橋剤に浸されます。

次に、このゴム繊維と環境にやさしい溶剤の混合物を、撹拌機を使用して20分間均一に分散させ、混濁ゲルをつくります。

混濁ゲルをマイナス50度で最大12時間凍結乾燥させることで、ゴム製エアロゲルが完成します。

ゴム製エアロゲルのメリット

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新しいゴム製エアロゲルは非常に多くのメリットを有しています。

高い耐久性

ほとんどのエアロゲルが脆くて砕けやすいのに対して、ゴム状エアロゲルは高い柔軟性を有しており、圧縮後に元の形状に戻ることができます。

費用対効果が高い

1平方メートル、厚さ1センチのゴム製エアロゲルのシートを作るのにかかる費用は1000円未満です。

優れた断熱性

高い耐熱性を備えており、厚さ2.54センチのゴム製エアロゲルは、25枚の標準窓ガラスに相当する断熱性を誇ります。

高い吸収性

油を除去するための吸収材となります。ポリプロピレンマットのような従来の吸収材の2倍の吸収性を持っています。

優れた吸音性

同じ厚さの市販吸音材よりも27%効果的に音を吸収できます。

軽量

市販の材料と比べて非常に軽く、発泡スチロールよりも硬いです。

開発されたゴム製エアロゲルは、今後、多方面への活用が期待されています。

例えば、海底システム、石油製錬所、工業用建設の産業用断熱材として活用できます。また、車両の遮音と断熱への働きも期待できるでしょう。

NUSの研究チームは、今回の開発を活かし、他の種類の廃棄物をエアロゲルに変換する計画も視野に入れています。

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reference: nus / written by ナゾロジー編集部
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