- 天の川銀河の新しい地図が提出された
- 複数の電波望遠鏡を使用することにより、天の川銀河の天体を正確に把握できるようになった
- 「新しい地図」によると、天の川銀河には対照的な4本の螺旋と1つの独立した短い螺旋がある
地球は太陽を中心とした太陽系の中にあります。そして、この太陽系はさらに大きな天の川銀河の中にあります。
ほとんどの人は、渦巻状の天の川銀河のイメージ図を見たことがあるでしょう。
しかし、その天の川銀河は想像にすぎず、実際には、中心から渦巻いている螺旋(渦状腕)の数や、天の川銀河内の太陽系の位置は正確に分かっていません。
しかし今回、最近の高解像度の調査によって、より正確性な情報が加えられ、天の川銀河の最新地図が提出されました。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマーク・J・リード氏と中国南京大学天文学教授であるシン・ウー・ジェン氏が、天の川銀河に関する最新の情報を報告したのです。
報告の詳細は「SCIENTIFIC AMERICAN」誌の4月1日号に掲載されています。
https://www.scientificamerican.com/article/a-new-map-of-the-milky-way/
天の川銀河の構造と観測の障害
私たちが住む天の川銀河の近くには、「NGC1300」、「M101」という名前の渦巻状の銀河(渦巻銀河)があります。
1,800年代から1,900年代にかけて、近隣の銀河を観測することにより、天の川銀河もそれらの渦巻銀河と同じような形状をしていると推測してきました。
近隣の銀河のように、銀河の中心に棒状の領域(バー)があり、中心から外に向かって複数の渦状腕があると考えていたのです。
しかし、観測技術が向上してきたにも関わらず、つい最近まで、渦状腕の数や太陽系の位置は正確に把握できていませんでした。
理由は、天の川銀河の広大さにあります。
銀河の反対側にある星からの光は、地球に到達するまでに5万年以上かかります。当然、どの星が近いか、どの星が遠いかという判断は困難を極めます。
また、銀河は大量の微粒子(ダスト)で満たされています。ダストは光を吸収してしまうので、光学的に遠くを見ることができません。