次世代のエコな新素材は「花粉」!? 花粉で花粉を防ぐマスクができるかも…

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写真は花粉由来のスポンジと紙。/Credit: NTU Singapore
point
  • 植物界のダイヤモンドと言われるくらい硬質な花粉を、ゲル粒子に変換する技術が登場
  • 安全性の高いこの材料は、高分子ゲル、紙シート、スポンジなど様々な形態に利用可能
  • 3Dプリンター材料として、注目されている

3Dプリンターの登場以降、環境問題を起こさず、経済的で、幅広く応用が可能な材料への需要が高まっています。

しかし、そんな都合のいい材料は簡単に見つかるものではありません。

大抵は、安価だけれど分解が難しく環境問題を起こす材料だったり、環境には優しいけれど高価だったりという問題点を抱えてしまいます。

そうした中、新たな研究は、あらゆる面で問題を解決できそうな新素材を発見したと報告しています。

それはなんと、花粉です。

確かに花粉は安価に大量に集めることが可能で、環境にも優しい存在かもしれません。これは画期的な材料になるのでしょうか?

この研究は、シンガポールの南洋理工大学(NTU)の研究者Teng-Fei Fan氏を筆頭とする研究チームより発表されており、論文はオープンアクセスの学術雑誌『Nature Communications』に3月19日付けで掲載されています。

Transformation of hard pollen into soft matter
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15294-w#Sec8

花粉ベースの新素材

花粉の構造。/Credit:Teng-Fei Fan et al., Nature Communications, 2020

花粉は植物界のダイヤモンドと例えられるくらい、硬い殻に覆われています。

しかし、その内側には柔らかく弾力性のある層があり、異なる2つの層で構成されているのです。

通常花粉は、雄しべから放出されたとき、脱水症状になり硬く折りたたまれた状態になります。これが雌しべにたどり着くと水を含んで柔らかく発芽可能な状態に変化します。

こうした成長過程は花の中の酵素によって制御されています。

このプロセスを利用して、今回の研究者たちは硬い花粉の構造を変化させて、弾力性に富んだ素材にしようと試みました。

彼らが用いたのはひまわりの花粉です。

ひまわりの花粉は外層を覆う油性の「花粉セメント」を除去して、アルカリ性の条件下で12時間培養すると、外殻が柔らかくなり、花粉粒子が膨らんでゲル状になることがわかりました

これは培養時間が長ければ長いほど、材料がよりゲル状になるといいます。

ここから得られた材料は、柔軟性に富んだマイクロゲル粒子で、体組織に触れた場合の毒性やアレルギー性が無い、生体適合性の高い素材が得られるのだといいます。

医療分野で活躍が期待される

柔軟で、生体に利用しやすいこの材料は、体内に埋め込むような人工装具や、包帯などの用途に非常に適していると研究者たちは語ります。

また、紙やスポンジのようなものを構成するのにも利用でき、網目構造のポリマーゲルとしても利用できるのだそうです。

ポリマーというと、オムツのCMなどで吸水性ポリマーなんて単語を聞いたことがあるかと思いますが、そうした用途で利用できる素材です。

3Dプリンターの印刷に使う素材としても、有用な可能性を秘めていると期待されています。

3Dプリンターで柔軟性に富んだ物体を作るのは、市販品ではなかなかに難度の高い印刷ですが、そうした問題も素材次第ではクリアできるかもしれません。

現在マスク不足で世界中が困っていますが、こうした素材をうまく利用すれば3Dプリンターを使って自宅でマスクが作れるようになるかもしれません。

Credit:pixabay

まだ実用段階の話ではないですが、色々と期待の高まる発見のようです。

しかし、花粉症の人が花粉ベースで作ったマスクを着けて花粉を防ぐというのは、かなり勇気のいる行為ですね。

毒をもって毒を制すという感じになるのでしょうか…。

花粉症がひどい身としては「別に実現しなくてもいいのでは」と、ちょっと考えてしまいます。

空き地によく生えているアイツは毒を操る能力者だった

reference: phys,eurekalert / written by KAIN
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