ブラックホールから噴射する「宇宙ジェット」の高解像度撮影に初成功

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波長1.3mmの電波で撮影(2017年4月11日)/Credit: EHT/youtube
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  • ブラックホール撮影に成功した「EHT」が、50億光年も離れた「宇宙ジェット」の撮影に成功
  • 一般的なジェットはまっすぐ伸びるのに対し、今回のジェットは少し曲がっていることが判明

昨年、史上初のブラックホール撮影を成功させた「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」のプロジェクトチームが、新たな画像を公開しました。

撮影されたのは、「3C 279」という銀河から放たれるジェットです。

撮影は2017年の4月に実施され、その後マックスプランク研究所(独)とマサチューセッツ工科大学(米)にてデータが解析されていました。

その結果、3C 279の中心部にある超大質量ブラックホールから放たれるジェットの様子が、これまでにない高解像度での撮影に成功しました。

研究の詳細は、3月3日付けで「Astronomy & Astrophysics」に掲載されました。

Event Horizon Telescope imaging of the archetypal blazar 3C 279 at an extreme 20 microarcsecond resolution
https://www.aanda.org/articles/aa/abs/forth/aa37493-20/aa37493-20.html

月面のミカンが地球から見える「地球望遠鏡」

3C 279は、地球から乙女座の方角に50億光年ほど離れた場所にある銀河です。

中心部には、太陽のおよそ10億倍の質量を持つブラックホールが存在し、これは、天の川銀河の中心にあるブラックホールの200倍以上に匹敵します。

3C 279のブラックホールの周囲には、重力により引き寄せられたガスやチリが集まり、降着円盤をつくりだしています。そこからブラックホールめがけガスやチリが落下することで、巨大なエネルギーを伴うジェットが噴射されるのです。

以下の動画は、3C 279から放たれるジェットのイメージです。

Credit: European Southern Observatory (ESO)

このジェットは強力な光を放っていますが、地球からはきわめて遠いため、光る点にしか見えません。こうした天体を「クエーサー」と呼びます。

しかしEHTは、世界各地に点在する8つの電波望遠鏡をつなぎ合わせて、「地球サイズの仮想望遠鏡」をつくることで、3C 279の観測を可能にしました

これにより、3C 279をわずか0.4光年のサイズで分解できる超高解像度が実現したのです。

実感しにくいかもしれませんが、この解像度は、地球上から月面に置かれたミカンがクッキリと見える視力に値します。

ジェットは「光速の99%」で移動していた!

採取したデータを解析した結果、3C 279のブラックホールから噴射するジェットを、これまでにない鮮明さでの画像化に成功しています。

画像は3パターンの波長で撮影されました。

右側の大きい画像は、2017年4月11日に波長1.3mmの電波で、左上は、同年4月16日に波長7mmの電波で、左下は同年4月1日に波長3mmの電波で撮影されたものです。

Credit: EHT Collaboration

これらの画像から、普通はまっすぐに伸びるジェットが少しねじれていることが分かっています。

また、ジェットは、観測方向(地球側)に向かって光速の99.5%ものスピードで移動していることも判明しました。

一般的に宇宙空間において、光より速く移動できる物体は存在しません。しかし、3C 279のジェットは、これほどの速度で動いているため、「見かけ上は」光速の20倍で移動しているように見えます。

これは、物体が光速に近いスピードで観測者の方向に近く時に起きる現象で、「超高速運動」と呼ばれます。

研究チームは、「3C 279は、昨年撮影されたブラックホール(M87に位置し、地球からの距離は約5500万光年)よりもはるかに遠く、撮影にはこれまでにない望遠鏡の視力が必要と思われました。

しかし、今回の結果により、EHTが、遠くにあるジェットの撮影にも有効であることが証明されました」と話しています。

EHTのプロジェクトチームは、今後、望遠鏡の数をさらに増やすことで解像度を高め、史上初となるブラックホールの動画撮影に挑むとのことです。

40年前の手書きブラックホール予想図が、NASA最新のシミュレーション映像と見事に一致

reference: sciencealertmiz.nao / written by くらのすけ
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