COVID-19の最新ワクチン一覧!開発中ワクチンの仕組みをカンタン解説【追記あり】

medical 2020/05/19
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point
  • ワクチンは体に病気の予習をさせる予防薬である
  • ワクチンには既存のタンパク質ワクチン以外にDNAワクチン、RNAワクチンが存在する
  • 国産のワクチンは日本人に適合したワクチンである可能性が高い

新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、時間はウイルスだけのものではありません。

人類はウイルスに対抗するためのワクチンの開発を加速させています。

そこで今回は、開発中のワクチンの一覧と、それら最新ワクチンの働く仕組みを紹介したいと思います

最新の研究ではウイルスが変異を加速させ、地域ごとに適応をはじめたと報告がありましたが、人類も急速に進歩したバイオサイエンスを使って、多様なワクチンを製造し始めているのです。

ワクチンの仕組みは「予習」

ウイルスを分解・断片化してスパイクと呼ばれるタンパク質を抽出する/Credit:ナゾロジー

最新のワクチンを紹介する前に、まずは既存のワクチンがどのような仕組みで動くか見ていきましょう。

様々なメディアでワクチンの話を聞きますが、仕組みをしっている人は意外に少ないのが現状です。

ワクチンの基本的な仕組みは、150年前と変わっていません。

人間の体は「一度感染症にかかると再び感染しにくくなる」という、学習能力が備わっています。

ワクチンはこの体の学習能力を利用して、病気にならないまま「予習」だけを行う方法と言えます。

現在、インフルエンザなどのウイルスに対して行われている主な「予習」方法は、殺して断片化させたウイルスのタンパク質を注射によって接種するものです。

注射によって体にウイルス断片を入り込ませることで、体にウイルスを排除する方法を「予習」させるのです。

「予習」に成功すると、体は生きたウイルスに対しても効果的に排除を行えるようになります。

なので、感染してからウイルスを殺すことを目的に飲む抗ウイルス薬とは異なり、ワクチンは事前に免疫能力をブーストしておく予防薬なのです。

最新ワクチンはDNAやRNAを使用

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これまでのワクチンには、断片化したウイルスや、弱毒化・無毒化したウイルスの本体が使われていました。

しかし、近年の急速なバイオテクノロジーの進歩によって、ワクチン内の「予習」教材も多様化が進みました。

古典的なワクチンはウイルスのタンパク質や弱らせた本体を使いますが、この方法は身体に多くの異物を取り入れるために、なにかと負担がかかります

DNAが取り込まれると、細胞はRNAを合成し、さらにウイルスのタンパク質を合成する/Credit:ナゾロジー

そこで研究者たちは、タンパク質や本体を体に入れる代わりに、ウイルスから切り取ったDNAを使う方法(DNAワクチン)を編み出しました

DNAはタンパク質の設計図と言われており、人間の細胞に取り込むことで、人間自身にウイルスのタンパク質断片を作らせる方法です。

これまでのワクチンは時間とともに効果が大きく失われて行きますが、DNAワクチンはDNAが細胞のなかにある間は、ずっとウイルスのタンパク質断片を作り続け、体に「予習」教材を提出し続けることができます。

ただ、DNAを使う方法は非常に効果的な反面、ウイルスのDNAが細胞のDNAに混入してしまう可能性が、わずかながら存在します。

RNAが取り込まれると、細胞はウイルスのタンパク質を合成する。DNAワクチンにくらべて合成の手間が1段階節約できる/Credit:ナゾロジー

そこでDNAの代わりに、同じ情報を持った「設計図の写し」とも言うべきRNAを使う方法(RNAワクチン)が編み出されました。

RNAはDNAと同じようなウイルスタンパク質の設計情報をもっていますが、人間のDNAに混ざり込むことがありません

DNAのように安定して存在することはできませんが、非常に負担の少ない方法です。

以上をまとめると、現在開発が行われているワクチンは全て以下のどれかに当てはまります。

  • 最も効果が確かな「タンパク質」を注射する既存のワクチン
  • タンパク質の「設計図」を注射する安定のDNAワクチン
  • タンパク質の設計図の「写し」を注射する最新のRNAワクチン

どれが最も効果的かは、まだわかりません。どのワクチンも一長一短と言えます。

なお現在、日本国内で開発が進んでいるワクチンはDNAワクチンです。

開発は、大阪大学発のバイオ企業「アンジェンス」がタカラバイオと共同で行っており、8月までに臨床試験をはじめ、2021年の早いうちに医療現場への投入が行われる予定です。

臨床試験まで進んでいるワクチン一覧表

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現在開発中のワクチンで、臨床試験まで進んだものがいくつかあります。

その中から種類ごとに、臨床試験中のワクチンをいくつかピックアップして紹介します。

【最新! 臨床試験中の次世代ワクチン一覧】

ワクチン名開発状況
mRNA-1273
(米国)
mRNAワクチン。カプセルにRNAを入れて注射する。※下記参照
Ad5-nCoV
(中国)
DNAワクチン。無害なウイルスにDNAを細胞まで運ばせる。
INO-4800
(米国)
皮膚を通過するDNAワクチン。
LV-SMENP-DC
(中国)
遺伝編集した合成DNAワクチン。
Pathogen-specific aAPC
(中国)
遺伝編集した合成DNAワクチン。

開発状況をみると、アメリカと中国が一歩先を進んでいるようです。

mRNA-1273を投与した患者から抗体を確認(2020.05.19 追記)

ですが、5月18日、アメリカの開発していたRNAワクチンである「mRNA-1273」に大きな動きがありました。

ワクチン開発を行っていたモデルナ株式会社が自社ページで発表したプレリリースによると、mRNA-1273を投与された全ての患者から、ウイルスの感染を予防する中和抗体が確認されたとのこと。

中和抗体とは、ウイルスの外周部に結合することで、ウイルスの活動を妨げ感染力を直接的に奪う抗体であり、感染後にも効果を発揮する力を持っています。

つまり「mRNA-1273」はワクチンでありながら、感染後の治療にも効果が期待できる万能性も秘めているのです。

モデルナは間もなく600人規模の次の治験をはじめ、7月には数千人が参加する最終段階の治験を行う予定であるとのこと。

ワクチンでもあり治療薬にもなりえる力をもった「mRNA-1273」は、ウイルスとの闘いを次の段階に引き上げることになりそうです。

この他にも、4月11日付の英「Times」の報告によって、イギリスのオックスフォード大学が開発中のChAdOx1 nCoV-19ワクチン(DNAワクチン)が、「8割の確率で効果が得られる」ことが明らかになっています。

今後のワクチン戦争はどうなるのか

現在、のべ20近くの機関がワクチン開発に取り組み、しのぎを削っています。

ワクチン開発に遅れをとった国は、開発に成功した国からワクチンを輸入する許可をしてもらうかわりに、外交的に不利な妥協を強いられることも考えられます。

その中には、領土問題や経済問題、知的財産権といった、非常に敏感な問題も含まれるでしょう。

なによりも、自国の国民の生死が、他国の政府や製薬会社の機嫌次第という状況では、健全で対等な外交は絶望的です。

現在アメリカでは、医療従事者やワクチンを開発する研究者を「兵士」と呼んで高揚していますが、現実の外交を考えると、あながち間違った表現ではなさそうです。

先に紹介した日本国産DNAワクチンは、まだ臨床試験に進んでいませんが、開発されれば日本人に適合したワクチンとなる可能性が高いだけでなく、ワクチン外交で不利に立たされないための布石にもなるでしょう。

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reference: the scientist / written by katsu
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