オウムアムアの奇妙な形の秘密を解明!砕かれた天体が再集合?

space 2020/04/19
credit: ESO / M.Kornmesser

2017年10月、観測史上初めて太陽系外からやってきた天体「オウムアムア(Oumuamua)」がハワイで発見されました。

発見当初、オウムアムアが他の天体ではありえない「細長い形」をしていることから、その正体が「彗星」なのか「小惑星」なのかについて様々な議論が行われてきました。

過去の研究で、岩石のような見た目から「小惑星」であろうと結論付けらましたが、現在では「どうして細長い形をしているのか」という問題に、研究者の注目が集まっているようです。

そこで今回、このオウムアムアが細長くなった理由について、中国科学院のユン・チャン氏は「砕かれた天体がもう一度集まったからだ」と発表しました。

オウムアムアの母体となった天体はどうして砕かれ、再び集まったのでしょうか?

砕かれた天体が再凝縮してオウムアムアを形作った

ユン氏らが主張したのは、「オウムアムアが恒星の潮汐力により砕かれた天体の破片から形成された可能性」です。

潮汐力とは、2つの天体の距離が近づいたときに、互いの重力が相手の天体に作用する力のこと。これは天体の形を楕円に変えてしまいます。

相手の天体に近い表面が重力で引っ張られて、ラグビーボールみたいになってしまいます。

その潮汐力の強さは星の質量に依存していて、重い恒星と軽い天体が近づいたとき、軽い天体が潮汐力に耐えきれず、粉々に砕かれてしまう(潮汐破壊)ことがあるんです。

credit: NAOC / Y.Zhang

研究によると、オウムアムアの元になった天体は、大きな恒星に近づくと潮汐力によって粉々にされながら、恒星から離れていったようです(上図)。

ユン・チャン氏らがおこなったシミュレーションでは、破壊された天体は恒星付近では高温により溶けて細長く引き伸ばされ、恒星から離れたところで冷えて再凝結しました。

このような結果からオウムアムアが細長い形をしていることが説明されました。

また、オウムアムアの観測について「彗星じゃないのにわずかに加速した」という事実があり、ユン・チャン氏らのシミュレーションはその事実もうまく説明してしまいました

彗星は揮発性物質である水などを含んでいて、それらの物質を太陽の熱で蒸発させながら移動します。すると蒸発したガスが彗星に推進力を与え、加速します。また、このとき彗星独特の「尾」が見えます。

ヤカンから噴出する水蒸気の勢いを利用して加速するイメージです。湯気の部分が彗星の「尾」になります。

ユン・チャン氏のシミュレーションでは、オウムアムアの元となった天体が恒星に近づいたとき、その熱によって表面の揮発性物質がほぼすべて蒸発します。

しかし粉々に引き割かれたオウムアムアの部品の内部には、少し氷が残っている可能性があったのです。

そうすると、部品が集まってできたオウムアムアは、表面がカラカラ、中に少しの氷を持つことになります。

シミュレーションによる、オウムアムア内部の氷が少量だったという説明により、彗星のような「尾」は観測できないが、加速していることに説明が付きました。

ユン・チャン氏はこのシミュレーション結果は今回のオウムアムアだけに起こることではなく、これから太陽系にやってくる数多くの恒星間天体全てに成り立つと主張しています。

彼の主張どおり、続々と次世代のオウムアウアが太陽系にやってくる日が来るとしたら、実際に観察してみたいものですね。

 

研究の詳細は2020年4月13日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

気温もサイズも地球そっくりの「ハビタブル惑星」が発見される

reference: NAOC/ written by shuni
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