馬と犬は「共有言語」を持っていた。生物が異種でも意思疎通できる理由

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イタリアのピサ大学動物行動学者であるエリザベッタ・パラジ氏は、2018年に馬と犬が一緒に遊んでいる動画を見て、あることに気付きました。

種の異なる動物がお互いに同じような遊び方をしていたのです。

これは、動物たちが「遊び」という共有言語を有していることを示していおり、全く新しい報告です。

一体どのように意思疎通をはかっていたのでしょうか?

馬と犬が表情をマネして意思疎通

動画では、馬と犬が楽しそうに遊んでいます。彼らはお互いに、甘噛みしたり、身体をぶつけあったり、地面に転がったりしており、似たような動作が見られます。

2匹の異なる種の「遊び方」が非常に似ていたため、バラジ氏は「遊び」が種の壁を超えていると考えました。

その考えを証明するため、異種間の「遊び」を科学的に研究することにしました。

実際に、同じ家庭の猫と犬が一緒に遊ぶことはよくあります。また、ヒヒとシマウマの幼獣同士、イノシシの成獣とサイの幼獣など、野生動物が一緒に遊ぶ姿も観察されています。

最初に、バラジ氏は、犬や馬が遊んでいる何百もの動画を分析し、研究のために20本の動画を選びました。

そして、各動画の断片をランダムに選択し、それぞれを攻撃行動、防御行動など、いくつかの遊びの行動に分類し、比較・分析しました。

その結果、2種の「遊び方」には大きな違いが無いことが明らかになりました。

そして、パラジ氏が特に注目していたのは、「表情模倣」です。

「表情模倣」はコミュニケーションと意思疎通の証拠であり、これまでは同種間でのみ観察されていました。

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しかし、研究チームは、重要な模倣信号である「リラックスして口を開けて見せる」行動に着目したところ、12匹の犬と10頭の馬がこの表情模倣をしていたことを発見しました。

これらの結果は、動物には遊びという「共有言語」があることを示しています。

生物には遊びという「共有言語」がある

進化の観点から見ると、犬は捕食者であり、馬は獲物です。ですから、科学者たちは、この2匹が遊びという「共有言語」を有していたことに驚いています。

しかしだからこそ、「遊び」が種の間では普遍的なものであるという考えが強調されるのです。

「遊び」は、ワニやカワウソ、スズメバチに至るまで多種多様な生物に見られるものです。

それぞれに多様な起源があるにもかかわらず、遊びの行動、つまり「戦う」「走る」「追いかける」「跳ぶ」などの動作は、自然界全体で顕著に類似しています。

そして、「犬と馬が一緒に遊んだ」事例は、「遊び」という共有言語によって、異種間でコミュニケーションがとれることを示しているのかもしれません。

現段階で、「遊びの言語」が生物に共通している理由は謎です。

今後、動物行動学者たちは「遊びの言語」に対する研究を行なっていくでしょう。もしかすると、大きく異なる種であっても、本能を脇に置いて、少しの間、一緒に遊ぶことができるのかもしれません。

研究の詳細は2020年5月付で「NCBI」に掲載されました。

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reference: nationalgeographic / written by ナゾロジー編集部
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