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500年前に失われた青色「フォリウム」を再現したら未知の新物質を発見

2021.01.27 Wednesday

2020.04.21 Tuesday

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credit: science advance
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  • 失われた青色「フォリウム」の製造方法が再現された
  • 「フォリウム」のなかには未知の新物質「クロゾフォリジン」が含まれていた

現在、身の回りにある染料のほとんどが、化学合成によって作れた「合成染料」です。逆に、花や草などの自然の色素を使った「天然染料」は、芸術の世界を除けば、ほぼ使われず、製法すら分からないものもあります。

例えば、中世の写本の装飾には「フォリウム」という、青色の天然染料が使われていましたが、活版印刷の普及によって出番が無くなってしまいました。

しかし今回、リスボン大学の保存学者マリア メロ氏が失われた青色染料「フォリウム」を再現に成功しました。

保存学者であるメロ氏らは、活版印刷以前の書物を修復、保存するために「フォリウム」を復活させる必要があったのです。

では、「失われた色」は一体どのように復活させたのでしょうか?

絶滅した言語で書かれた書物に製法のヒントが…

メロ氏らは最初にフォリウムの原料を書物から見つけ出しました。

しかしフォリウムの製法が書かれていた書物は、過去にユダヤ人が使用していた絶滅言語Judeao-Portugeuse(ユダオ-ポルトガル語)で書かれていたため、翻訳に手間取りました。さらに、原料である植物が「毛もくじゃら」な見た目をしていることや、染料の製法についての記載はあったのですが、ユダヤ人の言語では、的確な植物の名前がわかりませんでした。

そこでメロ氏らは実際にフィールドワークに出て、書物に書かれた「毛もくじゃら」な植物の実を探しました。

3ヶ月にわたってフィールドワークをした結果、ポルトガル南部の町モンサラスで「Chrozophora tinctoria(通称ダイクロトン)」という植物を見つけました。この実を潰すと「フォリウム」の青色の染液が得られたのです。

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Chrozophora tinctoria(ダイクロトン)の実 / credit: By Solanum – Own work, CC BY-SA 3.0(wikipedia)
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モンサンスの町 / By Rafael Tello – Own work, CC BY-SA 4.0(wikipedia)

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