
- 新型コロナウイルスの簡易検査に必須となる「モノクローナル抗体」の開発に成功
- モノクローナル抗体は、新型コロナウイルスだけに反応することのできる抗体
- この抗体を用いた簡易検査キットの開発に大きな期待がかかる
現在行われている新型コロナウイルスの検査方法は「ウイルス遺伝子検出法(PCRなど)」ですが、結果が分かるまでに平均4〜6時間かかるデメリットがあります。また、特殊な機器を必要とするため、検査数も限られていました。
感染拡大防止や早期発見には、簡単かつ短時間でできる検査キットが不可欠です。しかし、それにはまず新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原だけに反応する「モノクローナル抗体」が必要です。
そこで今回、横浜市立大学大学院・医学研究科のグループが、まさにそのモノクローナル抗体の作製に成功したことを発表しました。
「モノクローナル抗体」とは?
モノクローナル抗体とは、一言で言うと、体内の異物が持つ特定の「目印」だけをターゲットにできる抗体のことです。
例えば、ウイルス感染細胞やガン細胞などは、他の正常な細胞にはない目印を持っています。その目印に結合することで、特定の抗原だけを狙い撃ちできるのです。例えれば「新型コロナウイルスにのみくっつく磁石」のようなものでしょう。

近縁の抗原(風邪の原因となるヒトコロナウイルスなど)には見向きもしないので、新型コロナウイルスのみを正確に検出できます。
しかし現在使われている抗体は他の抗原にも反応することがあるため、適切な検査は困難でした。モノクローナル抗体は、そんな状況を打破してくれる抗体として期待を集めているのです。