新型コロナだけに反応する「モノクローナル抗体」の作製に成功!
今回の研究も、上記と同じ方法で行われています。
研究グループは、まず、新型コロナウイルスを構成する「ヌクレオカプシドタンパク質(NP)」を大量に準備しました。
これをマウスに投与することで、NPに対するモノクローナル抗体をつくり出すハイブリドーマを、全部で144株つくることに成功しました。
さらにこの中から、新型コロナウイルス抗原のみに反応する抗体をつくり出すハイブリドーマをふるい分け、その結果、20株がその条件をクリアしました。
テストでは、これら20株の抗体は、近縁のコロナウイルスにはまったく反応しないことが確認されています。
しかも、この内の6株は、免疫染色にも使用できる高品質の抗体であることが判明したのです。
上図の♯Aと♯Bが今回開発されたモノクローナル抗体です。新型コロナウイルス以外には、まったく反応していないことが分かります。
また下の免疫染色像を見ると、感染細胞(新型コロナウイルスに感染させた細胞)が蛍光色に染色されて、ウイルス抗原の検出に成功していることも見て取れます。
研究グループは、これから、モノクローナル抗体を用いた簡易検査キット(イノクロマトキット)の開発を進める予定です。
イノクロマトキットは、妊娠検査キットと同じ仕組みで、簡単かつ結果が分かりやすく、短時間で検査できるメリットがあります。
本研究は、感染拡大の阻止と迅速な治療を可能にするための重要な鍵となるでしょう。
この研究は、4月20日付で横浜市立大学大学院医学研究科の梁 明秀教授を中心とした共同研究グループによって発表されました。