ロケットが金属を吹き出して自分で「着陸台」を作成するアイディアが発表される

technology 2020/04/29

credit: Masten 
point
  • 土埃をあげずにロケットが着地するため、自ら着地台を作る「FASTシステム」が開発された
  • 排気口から溶けた金属が排出されて着陸台を作る
  • NASAの月面有人飛行計画「アルテミス計画」に「FASTシステム」が使われるかもしれない

ロケットが離着陸するとき、周囲には大きな衝撃波が広がります。

地球では耐衝撃用の発射台が整備されているので安全に離陸できますが、他の惑星に着陸するときには大量の岩や粉塵を撒き散らし、ロケットを傷つけてしまいます。

そこで、NASAが資金提供をするアメリカの宇宙開発会社Mastenが、ロケットが瞬時に着陸台を作る「FASTシステム」を開発しました。

開発者いわくFASTシステムは「エンジンの排出口から液体の金属を地表に吹き付け、それを固めて着地台にする」というクレイジーな発想から生まれたようです。

粉塵からロケットを守るには?

1960年代のアポロ計画のように人を乗せるだけの小さなロケットであれば、上がる粉塵は少量なので無視できます。しかしアルテミス計画では、月面基地の機材を運ぶために大きなロケットを使うので、粉塵が多く発生して機材を傷つけてしまいます。

それを防ぐため、Mastenの研究者は、まず惑星での着陸のシミュレーションをおこない、ロケット自体を粉塵から守る方法を考えました。

ロケットが着陸時に粉塵を巻き上げるシミュレーション / credit: Masten

しかしシミュレーションの結果、ロケットを粉塵から守るためには多くのシールドを装着しなければならず、重量やコストの面から効率が悪いと分かりました。

よって、Mastenは粉塵の発生自体を抑える着陸台の製作へと研究の舵を切ったのです。

着陸時に15秒で300 kgものアルミナを地面に噴射する「FASTシステム」

そして開発されたのが、ロケットの下に瞬時に着陸台を作る「FAST(in-Flight Alumina Spray Technic)システム」

FASTシステムのイメージ図。左が着陸時で右が離陸時。 / credit: IEEE SPECTRUM Matthew Kuhns

FASTシステムでは、まず着陸場所の上空にロケットがホバリングします。次にロケットのエンジン口(炎が出ていることろ)からアルミナ(酸化アルミニウム)の固まりを放出します。

アルミナはエンジンからでる炎で溶けながら、ロケットの下部の地表面に溜まっていき、冷えて固まることで即席の着陸台をつくるのです。

また、FASTシステムでは、着陸台に使用するアルミナ300 Kgを15秒間で放出します。滝のように金属が排出されるイメージです。

「でも激しくアルミナが地表に落ちるから、結局は粉塵が上がるんじゃ?」と疑問に思うかもしれませんが、上空でホバリングしているロケットには影響がないようです。

実際にMastenは地球上で何年間もFASTシステムのテストを行っており、作成が成功した着陸台も600個以上あります。

この入念なテストにより、FASTシステムはNASAにも宇宙開発に有用な技術だと判断されていて、今後9ヶ月かけてアルテミス計画に使えるのかどうか検討するそうです。

FASTシステムによって、アルテミス計画の最終目的である月面基地の建設に一歩近づいたかもしれませんね。

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reference: IEEE SPECTRUM / written by shuni

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