「Zoom疲労」はなぜ起こるの?ビデオ通話が脳に与える影響とその改善策

life 2020/04/28
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  • Zoom疲労が起こるのは、情報の欠如・カメラ意識・注意力の分散によって脳が疲れてしまうから
  • カメラをオフにして画面を横にずらすとZoom疲労を軽減できる

新型コロナウイルスが流行して以来、Zoomなどのビデオ通話アプリ利用者はますます増加しています。

しかしこの流行に伴い話題となったのが、「Zoom疲労」と呼ばれる新たなワード。多くの人は、ビデオ通話を行なった後に強い疲労を感じているようです。

慣れているはずの簡単なコミュニケーションや会議も、ビデオ通話で行った後は疲れ切って仕事の効率が落ちてしまうほど。

いったいこのZoom疲労はどうして起こるのでしょうか? 科学者たちが、この原因を明らかにしました。

視覚情報の欠如

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Zoom疲労が起こる1つ目の理由として挙げられるのは、ビデオ通話による「情報の欠如」です。

通常、人は言葉だけでなく、相手の表情や身体の些細な動きから、無意識に情報を集めています。

脳は話されている言葉に焦点を当てていますが、相手の目線、落ち着き、呼吸の頻度なども感じ取り、相手の意図を把握しています。

しかしビデオ通話では、相手の肩から上しか映りません。画質も荒く遅延も生じます。そのため、脳が欲している視覚情報の多くが失われてしまうのです。

米国ノーフォーク州立大学サイバー心理学のアンドリュー・フランクリン助教によると、「非言語的な合図に頼り切っている人にとって、それが無いことは大きな消耗になります」とのこと。

つまり、私たちの脳は、限られた情報から多くを得ようとフル活動するために疲れてしまうのです

また、人の対話は「自然な沈黙」を伴うものです。この沈黙も1つの情報となり、自然な会話リズムを生み出します。

しかし、ビデオ通話での沈黙が生じると、「遅延」という不安を生じさせ、自然な会話を生み出すどころかストレスを与えます

カメラに監視されている

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Zoom疲労が生じる2つ目の理由は、「カメラによる監視」です。

米国クレムゾン大学の組織心理学准教授であるマリッサ・シャフラー氏は、次のように述べています。

「ビデオ会議に参加している時、誰もが見られていることを強く意識します。ステージの上に立っているかのようです」

画面上にも自分の顔が写っているので、自分の表情や行動を意識しないのは難しいでしょう。

すると当然、ビデオ通話の間はずっと緊張してストレスを抱えることになります。

注意力の分散

疲労を生み出す3つ目の理由は、「マルチタスク」による注意力の分散です。

ただでさえビデオ通話は視覚による情報が欠如しており、私たちは多くの情報を得ようと必死になるものです。

それが複数人によるビデオ会議ともなると、扱うべき情報量は格段に増加します。

参加者全員の顔が見えるギャラリー・ビューは、脳の中枢神経を刺激し、一度に多くの人の情報を読み解くことを強制されます

その結果、私たちは様々なことに注意を向けますが、どれかに集中することはできず、思考力と作業性が大きく低下します。

これは、心理学で「継続的な部分注意(Continuous partial attention)」と呼ばれる現象です。マルチタスクの失敗版とも言えるでしょう。

そして、一部の人にとって、「継続的な部分注意」は「何も達成していないのにエネルギーは消耗している」という不可解な感覚を生み出します

Zoom通話は閉鎖的な環境を意識させる

Zoom疲労は、ビデオ通話の使用により「現在の独特な環境を強く意識する」ことからも生じます。

ビデオ通話によって、仕事、交友、家族生活のすべては同じ環境で行われるようになりました。

ですから、Zoomを開くたびに、閉鎖的な環境に閉じ込められていることを脳が実感し、不安やストレスを感じます

加えて、ビデオ通話による仕事は、経済不安や失業を意識させるものです。

人々は仕事を確保し続けるために、「最高レベルのパフォーマンスを発揮しなければいけない」というプレッシャーを感じていることでしょう。これも「疲れ」の原因となります。

Zoom疲労を軽減する方法

もしZoom疲労を感じている人は、次の方法を試してみてください。

ただの会議であれば、まずカメラをオフにしましょう。もしくは、最初の10分だけカメラをオンにするなど、オフにする時間を作ってみてください。カメラが無いだけでも緊張とストレスは大きく和らぐはずです。

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また、ビジネススクール「INSEAD」の組織行動准教授であるジャンピエロ・ペトリグリーリ氏は、画面の位置を工夫するよう提案しています。

画面を正面ではなく顔の横に持ってくることで、隣の部屋にいるような感覚になり、そこまで集中力を必要としなくなるのです。モニタを分けたり、通話だけ別の端末で実行するのも良いでしょう。常に集中する必要が無くなり、緊張が和らぐので、集中力を維持するのに役立ちます。

さらに、ビデオ会議の合間に休憩を挟むことも大切です。ストレッチしたり、飲み物を飲んだり、軽く運動しましょう。

加えて、仕事とプライベートの境界を設けることも有効です。同じパソコンを使用するとしても、仕事とプライベートのIDを分けることで、区切りを明確にしてみてください。

現在でも既にZoom疲労を感じている人は多くいますが、今後もしばらくはビデオ通話が必要になるでしょう。

ですから、疲労の仕組みを理解して対策を講じることは大切です。ビデオ通話をできるだけ快適なものにしていきましょう。

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reference: bbc , nationalgeographic / written by ナゾロジー編集部
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