新しい発光植物は生涯にわたり外部要因なしで発光し続けることができる
新しい発光植物は生涯にわたり外部要因なしで発光し続けることができる / Credit:Nature Biotechnology
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外部要因なしで発光し続けるファンタジーな発光植物が開発される

2024.02.15 Thursday

2020.04.28 Tuesday

ファンタジーや映画の世界の森の中には、幻想的な光る植物が多く描かれていますが、それはもはや架空の存在ではなくなるようです。

国際的な研究チームは、光るキノコの遺伝子を植物に組み込むことで、植物を生涯にわたって発光させ続けることに成功したのです。

以前にも光る植物を作ろうとする試みはありましたが、蛍光エネルギーを外部からの化学物質に依存していたために、光の持続時間は長くても数時間でした。

しかし今回の研究では、植物は自らに組み込まれた蛍光遺伝子を使って光を発するために、外部からの支援は必要ありません。

さらに光る遺伝子は種を通して次世代に受け継がれ、拡散していくことも可能です。

研究者は「光の強さを強化することで、将来的には街路樹を外灯の代わりにすることも可能」と述べています。

いったい植物たちはどうやって生涯にわたる発光能力を身につけたのでしょうか?

研究内容の詳細はロシア科学アカデミーのタチアナ・ミティオウキナ氏らによってまとめられ、2020年4月27日に学術雑誌「Nature Biotechnology」に掲載されました。

Scientists Engineer Gorgeous Glowing Plants That Shine Bright Their Entire Life Cycle https://www.sciencealert.com/gorgeously-glowing-plants-shine-bright-throughout-their-life-cycle
Plants with genetically encoded autoluminescence https://www.nature.com/articles/s41587-020-0500-9

光る植物の発光メカニズム

Q.どうしてキノコが光るんだ?A.蛍とかと同じ生物発光。 いわゆるルシフェリン・ルシフェラーゼ反応。簡単に言うと、ルシフェリンがルシフェラーゼの存在下で酸化されて3-ヒドロキシヒスピジンと二酸化炭素に分解されるのだが、この3-ヒドロキシヒスピジンのカルボニル基が電子的に励起された状態にあって、それが基底状態に戻る時に光が放出される
Q.どうしてキノコが光るんだ?A.蛍とかと同じ生物発光。 いわゆるルシフェリン・ルシフェラーゼ反応。簡単に言うと、ルシフェリンがルシフェラーゼの存在下で酸化されて3-ヒドロキシヒスピジンと二酸化炭素に分解されるのだが、この3-ヒドロキシヒスピジンのカルボニル基が電子的に励起された状態にあって、それが基底状態に戻る時に光が放出される / Credit:ナゾロジー編集部

今回の研究は、2018年に同研究チームが解き明かした「光るキノコの発光メカニズム」が基になっています。

発光の仕組みは上の図のように、カフェイン酸(カフェインとは無関係)を材料として「ルシフェリン・ルシフェラーゼ」反応(蛍の光る仕組みと同じ)を起こします。

この反応にかかわるのは4つの酵素です。

最初の2つがカフェイン酸をキノコ製のルシフェリンに変換し、3番目の酵素(ルシフェラーゼ)によって酸素がくべられ発光が起こります。

そして4番目の酵素によって、発光後の燃えカスは再びカフェイン酸へとリサイクルされます。

興味深いことに、発光メカニズムの材料であるカフェイン酸は全ての植物に含まれています。カフェイン酸は植物の細胞壁の重要な材料でもあるからです。

つまり、キノコの発光遺伝子があれば、全ての植物は潜在的に光る能力を秘めていることを意味します。

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