2つの星の性質をもつ奇妙な中性子星を発見! 恒星進化のミッシングリンクか

space 2020/05/06
Credit:Wikipedia
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  • マグネターとパルサーの両方の性質をもつ星が見つかった
  • 「Swift J1818.0-1607」はマグネターでありながら、高速自転し、電波放射する
  • 「Swift J1818.0-1607」は恒星進化論におけるミッシングリンクかもしれない

太陽のような恒星は、その終わりと共に超新星爆発を引き起こし、死を迎えます。

その後、ある一部の死んだ星たちは、星の残骸の原子のうち中性子だけが集まった中性子星として残ります。

最近、その中性子星の1種「マグネター」である「Swift J1818.0-1607」から、本来「マグネター」が出さない奇妙な電波放出が観測されました。

オーストラリアのスウィンバーン工科大学、宇宙物理学者マーカス・ローワー氏は、この電波から、「Swift J1818.0-1607」が、「マグネター」と、電波を放出する「パルサー」と呼ばれる中性子星の中間に位置する星だと推測しています。

つまり、「Swift J1818.0-1607」が「マグネター」と「パルサー」を繋ぐミッシングリンクである可能性が出てきたのです。

マグネターとパルサー

「マグネター」は中性子星の一種であり、高密度の核の残骸です。

超新星爆発によって恒星が圧縮して中性子星になる時、元の恒星が持っていた磁場は強くなります。

そして、磁場が極端に強くなった中性子星をマグネターと呼びます。

その磁場の強さは、地球の約1000兆倍、中性子星の1000倍とも言われています。

マグネターは非常に貴重な存在であり、銀河系内で24個しか発見されていません。また、その中でも電波を発しているのは、ほんの一握りです。

また、中性子星には「パルサー」と呼ばれる一般的な星も存在します。

パルサーのイメージ / Credit:depositphotos

パルサーとは、パルス状の可視光線や電波、X線を発している星の総称で、高速自転しながら、極から電波ジェットを発射しています。

その様子が、灯台で回転する光のように見えることから「宇宙の灯台」として知られてきました。

マグネターよりも数が多く、現在でも1000個以上のパルサーが確認されています。

Swift J1818.0-1607はミッシングリンクなのか?

パルサーもマグネターも中性子星の一種であることから、この両者の間の存在である「電波放射するマグネター」が期待されていました

しかし実際のところ、これは今まで4つほどしか確認されていません。

その理由は、マグネターの磁場が強すぎて、電波放射することができないためだと考えられてきました。

ところが、最近の研究では、マグネターからは電波放射がされているものの、単純に、電波ビームが地球に届いていないだけだと推測されています。

つまり、マグネターは自転周期が遅いので、パルサーと比べて電波ビームの届く範囲が非常に狭くなるというのです。

マグネターとパルサーの両方の特性を備えている

マグネターとして知られていた「Swift J1818.0-1607」は、2020年3月12日、スイフト天文台に設置されたバーストアラート望遠鏡によって、ガンマ線の放出が検出され、その後、パルス状のX線放射も検出されました。その2日後には、電波放射も検出されました。

ですから、この観測により、「Swift J1818.0-1607」は電波放射していることが検出された5番目のマグネター(以下電波マグネター)となりました。

しかし、この5番目のマグネターは、電波マグネターというよりも、通常のパルサーに近い振る舞いをしていたのです。

分析の結果、「Swift J1818.0-1607」は、これまでに発見された中で最も早く回転しているパルサーであり、240年前に生まれた最年少のパルサーでもあることも分かりました。

Credit:Wikipedia

「Swift J1818.0-1607」によって放出された電波は、一見すると、他の4つの電波マグネターと非常によく似ています。そこから発せられる電波放射は非常に範囲が狭いからです。

しかし、周波数における輝度は、マグネターよりもパルサーに近い傾向が発見されました。

通常、マグネターは低周波から高周波に至るまで、輝度を一定に保っています。しかし、「Swift J1818.0-1607」は高周波での輝度が劇的に落ちていました。

高周波での輝度の低下は、パルサーに共通するものです。

実際、2016年に「PSR1119-6127」と呼ばれる高磁場のパルサーが独自の電波放出を起こしましたが、その観測データは、「Swift J1818.0-1607」のものと非常に似ていました。

これらのことから、いくつかのマグネターがパルサーから進化する可能性があることを示唆しています。

進化のプロセスは不明ですが、いくつかのシナリオが考えられます。

例えば、中性子星の自転速度が急激に遅くなると、マグネターのような自転特性を示すのかもしれません。

あるいは、崩壊した中性子星が最初からマグネターのような磁場を持っていても、それが超新星の残骸であるフォールバック物質に埋もれてしまい、再び現れるまでに時間がかかるという可能性もあります。

これらを確認するためには、より多くの観測が必要でしょう。

しかし、Swift J1818.0-1607がマグネターとパルサーの中間のような振る舞いをしていることは分かったので、より長く、より感度の高い装置を使って研究できれば、本当にミッシングリンクだと証明できるかもしれません。

研究の詳細は4月24日に「arXiv」上で掲載されています。

Spectropolarimetric properties of Swift J1818.0−1607: a 1.4 s radio magnetar
https://arxiv.org/abs/2004.11522

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reference: sciencealert / written by ナゾロジー編集部
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