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新型コロナウイルスの感染を完全に防ぐ抗体薬が作成される (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.05.05 Tuesday

前ページウイルスと抗体を混ぜてヒト培養細胞に注ぐ

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抗体によるウイルスの無毒化

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抗体薬がウイルスを無毒化する仕組み/Credit:japanbiotechnopharma

抜群の効果が確認された抗体薬ですが、そもそも抗体による無毒化とはどのように働くものなのでしょうか?

説明を簡略化するため、上の図では抗体がウイルスを認識して結合し、ウイルスの感染を妨害している様子を示しています。

ウイルスは身体から突き出たスパイク(棘)と呼ばれる部分でヒトの細胞表面に取り付き、次いで細胞に侵入して感染を引き起こします。

新しく作られた抗体は、このウイルスのスパイクに結合することで機能を阻害し、感染をブロックするのです。

ただし、実際にどのような阻害が行われているかは分かっていません。

というのも、抗体がスパイクに結合して感染力を奪っても、ウイルスはヒトの細胞表面に結合する能力(ACE2との結合能力)だけは、残していたからです。

そのため研究者たちは、今回作られた抗体が「全く未知の仕組みでウイルスの感染を防いでいる」と結論付けています。

この未知の仕組みを解き明かすことができれば、スパイクとヒト細胞との結合阻害に依存しない、全く新概念の抗体薬を作ることも可能性もあるでしょう。

しかし薬の製品化にあたっては、効果と安全性があれば認められるものの、未解明なメカニズムは不利となります。

また、抗体薬の生産には大量の細胞を生産工場として使用する必要がある他、化学薬とは異なり生の抗体タンパク質からできているため、保管体制がなければ直ぐに腐って効果を失ってしまいます。

そのためウイルス感染の治療に効果が絶大であっても、治療薬代はタミフルなどと比べても非常に高額になると考えられます。

限られた人間だけを救う薬から、全ての人間を救う薬になるためには、迅速な量産体制の確保が必要となるでしょう。

研究内容の詳細はオランダ、ユトレヒト大学のチュンヤン・ワン氏らによってまとめられ、5月4日に学術雑誌「nature / communications」に掲載されました。

A human monoclonal antibody blocking SARS-CoV-2 infection
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16256-y

快挙!新型コロナ検査を簡略化できる「モノクローナル抗体」の開発に成功(日本)

reference: sciencedaily / written by katsu

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