北極圏のクモの「共食い」が激化…その原因は?

animals_plants 2020/05/07
Credit: Amanda Koltz

今、北極圏に生息する「コモリグモ(Wolf spider)」に異変が起きています。

コモリグモは、世界各地に分布しており、地上を歩き回ってエサを取る徘徊性のクモです。

母親が卵や子どもを献身的に守ることから、「コモリ」という名前がつけられました。

ところが、現在、コモリグモの中でカニバリズム(同種食い)が激化し始めているのです。

しかも、メス親が、子どもや若い世代をターゲットにしているのだとか。

子ども想いのメス親に何が起きているのでしょうか。

カニバル化は温暖化が原因?

コモリグモのカニバル化は、セントルイス・ワシントン大学による、アメリカ最北端のアラスカ調査で明らかになりました。

研究主任のアマンダ・コルツ氏は「この変化には、アラスカの温暖化が関係している」と指摘します。

近年、アラスカでは、急速な温暖化が進んでおり、野生生物の数や生態に多大な悪影響を与えています。コモリグモも例外ではありませんでした。

アラスカの2地域に生息するコモリグモを調べてみると、メスのサイズが通常より大きくなり始めていたのです。

アラスカでの調査の様子Credit: Amanda Koltz

クモのように体温を外部に合わせて調節する生き物は、温暖化による変化を被りやすい位置にいます。そして今、夏の期間が長くなりつつあるアラスカで、その影響がコモリグモの体に表れ始めたと言えるでしょう。

コルツ氏によると、メスのコモリグモは、体が大きくなるほど繁殖能力が高くなり、より多くの子孫を残します。

しかし、子孫繁栄がそのまま、種の繁栄に繋がるとは限りません。アラスカでは、コモリグモにとっての資源やスペースが限られています。

つまり、食料とスペースの確保として、同種間の争いが生じるのです。

同種を食べるクモは早死にする?

これは、実験でも証明されています。

研究チームは、アラスカと同じ生息環境を準備し(メソコスムという実験方法)、その密閉された空間の中で、採取したコモリグモを放しました。

この際、コモリグモの数を増やし、高密度の環境下にさらすことで、食生活や数にどのような変化が起きるかを調べています。実験は、「大きなメスがいる空間」と「通常のメスがいる空間」が準備されました。

その結果、前者の方で、メス親の捕食により、幼生の数が減っていることが判明したのです。

非情な行動にも思えますが、この行動は、種全体の存続のために、仕方なく個体数を調整する手段なのかもしれません。

コモリグモ/Credit: Ashley Asmus

しかし、コルツ氏は「長い目で見ると、カニバリズムは、種の生存に不利かもしれない」と指摘します。

というのも、研究では、同種の食べるコモリグモは、虫など普通のエサを食べる個体に比べて、早死にすることが分かっているのです。

コモリグモたちがそれを理解しているわけもなく、温暖化が続けば、さらにカニバリズムを激化させる危険性があります。

子ども想いのコモリグモも、このままでは「コグイグモ」に改名されてしまうかもしれません。

 

研究の詳細は、5月4日付けで「Journal of Animal Ecology」に掲載されています。

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reference: phys.org / written by くらのすけ
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