白アリは再生可能エネルギーだった!?「1枚の紙から2リットルもの水素を生成可能」

chemistry 2020/05/10
Credit: Commons / wiki

木造建築は、昔から害虫であるシロアリに悩まされてきました。

しかし近年の研究では、このシロアリが太陽光や風力と並ぶ「再生可能エネルギー」だと判明しています。

実は、シロアリは枯れた植物を食べることによって、石油の3倍もの潜在エネルギーをもつ水素を排出しているのです。

害虫として嫌われてきたシロアリですが、長期的な観点では、私たちを救うものとなるかもしれません。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、地熱などに由来したエネルギーです。

その特徴は、どこにでも存在し、利用する以上の速度で自然界によって補充され、枯渇せず、CO2を排出しない点にあります。

石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギーはいつか無くなってしまうので、再生可能エネルギーの利用拡大は急務だと言えるでしょう。

さて、再生可能エネルギーの中には、「バイオマス」と呼ばれる分野があります。

バイオマスは動物や植物に由来する生物資源です。そして、その中には「木材」も含まれます。

Credit:和歌山県 農林水産部

一見、再生可能エネルギーではないように思えますが、未利用間伐材や廃材に限定したり、トータルで考えると二酸化炭素濃度を増やさないという考えにより、再生可能エネルギーとして認められています。

木質バイオマスに関しても、世界中で効率の良い活用方法が模索されてきました。

そんな中で、「木材から水素を生成する」シロアリが注目されるようになったのです。

シロアリは高効率の再生可能エネルギーだった

シロアリの主な食物は枯死した植物であり、その主成分はセルロース(植物繊維の主成分である炭水化物)です。

ですから、枯れ木や、糞、植物などの廃棄物をリサイクルすることにより、生態系において重要な役割を果たしています。

そして、シロアリは食事の過程で水素を排出することも知られるようになりました。

シロアリの水素生成の秘密は、腸内の微生物にあります。

微生物の力を借りて、セルロースを分解しますが、この時に水素を発生させるのです。

Credit:吉村 剛 / Jstage

水素は石油の3倍もの潜在エネルギーを有しています。加えて、燃焼しても水しか発生しないので、究極のクリーンエネルギーと言えるでしょう。

しかし、水素は空気中に約0.00005%しか含まれていません。

水素をエネルギーとして利用したくとも、「どこから集めるか」という課題があったのです。

ところが、シロアリは貴重な水素を高効率で作り出せます。

「JGI」に掲載された研究によると、シロアリには1枚の紙から2リットルもの水素を生成する能力があるとのこと。

これは、地球上でもっとも効率的なバイオリアクター(生化学反応装置)の1つと言えるでしょう。

実際に、枯死植物が豊富にある熱帯雨林の上空では、水素ガスが異常に高い濃度で検出されるようです。

つまり、世界中に生息するシロアリは、植物の自然サイクルが続く限り永遠に水素を排出し続ける「再生可能エネルギー」なのです。

現在、シロアリを利用した遺伝子工学によって、高効率の水素バイオリアクターの作成に注目が集まっています。

将来のエネルギー問題を改善するのは、害虫シロアリなのかもしれません。

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reference: wikipedia / written by ナゾロジー編集部
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