「はやぶさ」お手柄!リュウグウの表面に太陽に焼かれた痕跡を発見

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タッチダウン時のリュウグウ表面の撮影映像。/Credit:JAXA、千葉工大、東京大、高知大、立教大、名古屋大、明治大、会津大、産総研
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  • 小惑星リュウグウ表面には、高熱にさらされたために変質した粒子が多く存在していることがわかった
  • これはリュウグウがかつて、非常に太陽に接近していたことを示している
  • はやぶさ2の採取した試料は、太陽の変成を受けた粒子と受けていない粒子が含まれ、分析への期待が高まっている

「はやぶさ2」は小惑星リュウグウへのタッチダウン(着地)に成功し、その表面サンプルを手に現在地球へ帰還中ですが、この採取の際の映像の反射スペクトルを分析したところ、赤黒い粒子が舞い上がっているのが確認されました。

この粒子はリュウグウの表面に広く分布していて、これはかつてリュウグウ表面が高熱で焼かれた痕跡だとわかりました。

太陽系で小惑星を高熱で焼く存在は太陽以外ありません。

分析の結果、どうやらリュウグウは30万年前から800万年前、水星軌道より内側まで太陽に接近し高熱で焼かれたことがあったようなのです。

現在リュウグウは地球と火星の間に存在していますが、過去にはずいぶんとダイナミックな旅をしていたようです。

リュウグウの表面の赤黒い粒子

「はやぶさ2」タッチダウンの様子。/Credit:JAXA | 宇宙航空研究開発機構

これまでリュウグウの表面は岩石に覆われた姿しか見えておらず、月面のレゴリスのように微粒子の存在は確認されていませんでした。

しかし、「はやぶさ2」が試料採取のためにタッチダウン(着地)を行った際には、非常に多くの粒子が舞い上がっているのが確認されています。

映像はモノクロですが、映像の反射スペクトルを調査した結果、この舞い上がった粒子は赤黒い色をしているとわかりました。

この赤黒い粒子は、リュウグウの表面に数メートルの厚さで全体に存在していて、太陽に焼かれて変質した物質だと考えられています。

リュウグウ全体の反射スペクトル(色)の分布については、赤道にあたる部分と極点にあたる部分は青白く、中緯度の領域が赤黒いということがわかっていました。

リュウグウ表面の反射スペクトルの傾きマップ。/Credit:Science,Morota et al., 2020

また、リュウグウのクレーターには赤黒いクレーターと青白いクレーターが存在していることがわかっています。

これは画像で比較すると青白いクレーターは赤黒いクレーターの上に存在していることから、若いクレーターであることがわかります

クレーターの反射スペクトル。右の白丸で囲われた部分がクレーター。/Credit:Science,Morota et al., 2020

これはリュウグウがかつて太陽に非常に接近したことがあり、表面がその熱で変質したためだと考えられるのです。

青白いクレーターは、そんな太陽の変成を受けた後にできたため、内部の青白い物質が露出した状態になったのです。

太陽系をダイナミックに移動していたリュウグウの歴史

クレーターの色が明確に赤と青に分かれていることから、リュウグウ表面の赤化はかなり短期間の間に起こった出来事だと考えられます。

また、青いクレーターの数や密度から、リュウグウの赤化が起きた年代はおよそ30万年前から800年前と推定されます。

タッチダウンで舞い上がった赤黒い粒子は、この太陽接近の際に焼かれた表面物質が、長い年月の中で破砕されて砂のように表面を覆ったもののようです。

推定されるリュウグウの進化史。/Credit:Science,Morota et al., 2020

赤道や極点にあたる位置はこうした砂状に砕けた粒子が流されてしまい、内部の青白い層が露出しました。そして、赤黒い粒子の多くは中緯度の領域に寄せ集められ、現在のような分布になったと推定されるのです。

この表面の受けた熱の痕跡から考えると、リュウグウはかつて水星軌道より内側まで太陽に接近しており、800度近い高熱にさらされたと考えられます。

水星探査機などは、太陽系の内側の軌道へ移動させる際に惑星の重力を使ったスイングバイ航法というものを用いますが、小惑星も同じ様に惑星の重力の影響によって、かなりダイナミックに公転軌道を変える場合があります。

現在は地球と火星の間を回るリュウグウも、かつては太陽に水星より接近するような、ダイナミックな軌道を描いて太陽系を回っていた歴史があるようです。

「はやぶさ2」は、この熱で変成を受けた赤黒い粒子と、もっと内部の青白い物質の両方の試料を採取できていると考えられています。

現在「はやぶさ2」は地球への帰還途中ですが、この試料の分析は、より多くのリュウグウのたどった歴史を解明できるものと期待されています。

小惑星の軌道が惑星重力の影響で大きく変わることは知られていますが、これはその初めてとなる物的証拠です。さすがはやぶさ!

この研究は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大の諸田智克准教授らの研究チームより発表され、論文は科学雑誌『Science』に5月8日付けで掲載されています。

小惑星リュウグウはスポンジみたいにスカスカだった。はやぶさ2が新たに発見

reference: JAXA,東京大学/ written by KAIN
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