精液から新型コロナウイルスのRNAを検出「活性ウイルスを示すものではない」

medical 2020/05/09
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  • 新型コロナウイルスRNAが精液から見つかった
  • この発見だけでは、活性ウイルスが精液に含まれているとは断定できない

新型コロナウイルスに関しては、未だに明らかになっていない分野が多くあります。その中の1つが、睾丸への感染です。

これまでの研究では、「新型コロナイルスは睾丸に感染する可能性がある」と指摘されていましたが、一方で、「精液検査からは新型コロナウイルスが検出されなかった」との報告も上がっており、ナゾロジーでも取り上げました

しかし今回、河南省上丘私立病院の医師シーシー・チャン氏らの研究チームから、同病院の重度の新型コロナウイルス患者の精液から、新型コロナウイルスRNA(遺伝情報)を検出したという報告がありました。

これまでとは異なる研究結果

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調査されたのは、重度の新型コロナウイルス患者38人です。

この内、15人は急性期(症状が急に現れる時期)であり、残りの23人は回復直後でした。そして、急性期者のうち4人、回復直後の者のうち2人の精液から新型コロナウイルスRNAが検出されたのです。

これらの発見は、12人の患者を対象にした以前の研究結果とは異なるものです。

その研究では、軽度の患者から精液サンプルを採取しており、採取時期も回復後2日目と3日目でした。そして、「新型コロナウイルスRNAは検出されなかった」という結果を提出しています。

以前の研究と今回の研究の結果が異なるのは、疾患の重症度とサンプリング時間の違いによるものでしょう。

精液から「生きたウイルス」が見つかったわけではない

「精液から新型コロナウイルスRNAが検出された」という事実は、必ずしも精液中の感染性ウイルスの存在を示すものとはなりません。

なぜなら、RNAが検出されることと、活性ウイルス粒子が検出されることは、感染において、意味合いが大きく異なるからです。

活性ウイルス細胞は人体へ感染し、タンパク質とRNAを用いて複製・増殖します。ですから、RNAが検出されただけでは、感染可能な活性ウイルスが検出されたことにはならないのです。

Credit:宮崎県衛生環境研究所

したがって、次の段階として、患者の精液から感染性のウイルスを分離できるかを示すことが重要になってきます。

その点が明らかになるなら、重症患者と軽症患者、無症状患者の精液中のウイルスレベルの違いも明確になっていくでしょう。

現段階では、感染可能な新型コロナウイルスが精液に含まれているかどうかは、はっきりと分かりません。当然、回復後にウイルスが精液にどれほど残留するかも不明です。

一例として、猛威を振るったエボラ出血熱は、患者が回復してから数か月後であっても、性行為によって相手を感染させる恐れがあります。

新型コロナウイルスの精液残留期間は不明なため、この点が明らかになるまでは性行為においてコンドームを使用するのが賢明でしょう。

 

研究の詳細は5月7日、「JAMA Network Open」に掲載されました。

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reference: theconversation , livescience / written by ナゾロジー編集部
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