SFの技術が実現!? 電気自動車がワイヤレス充電で走り続けられる技術が開発中

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Credit:game8.jp,Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.
point
  • 移動中でも電力供給が可能な給電パネルの研究が進められている
  • 従来のシステムは給電効率が10%程度だったが、新システムは92%まで向上している
  • 高速道路を走る電気自動車や、工場で稼働するドローンは充電なしで動けるようになる

近未来のSF世界を舞台にしたゲームには、通電エリアに入れば勝手にバッテリーが充電されたりする設定がありますが、こうしたワイヤレス充電は現実世界でも実現され始めています。

スマートフォンのワイヤレス充電は、すでに実用化されていて、所定のパネルの上に置くだけでバッテリーを充電することができます。

ただ、こうしたシステムでネックになっているのが、動かすと充電できないという問題です。

スマホなどは始終触っていたい人もいるでしょうから、こうなると「ケーブルで充電した方が楽だよ」と思ってしまうかもしれません。

スタンフォード大学の科学者チームは、こうした問題を解決して、動く物体にも給電できるシステムを研究しています。

このシステムが本格的に実現すれば、スマホどころか、高速道路を走行中の電気自動車や、工場で働くドローンなどにも常時電気を伝送することが可能になるのだといいます。

本格的なSF世界は、もう目の前に迫っているようです。

ワイヤレス充電って何でできるの?

スマートフォンのワイヤレス充電。/Credit:depositphotos

ワイヤレスで充電ができる仕組みには、磁気共鳴というものが利用されています

磁気共鳴と書くと少し馴染みのない感じですが、これは音の共鳴と同じことです。

学校の理科授業で、音叉を鳴らして別の触れていない音叉を鳴らすという実験をしたことがあると思います。

Credit:わかりやすい高校物理の部屋

これは同じ固有振動数を持つ共鳴箱を使って、片方の音叉の作る音の振動を、別の音叉に伝えています。

電気の場合は、共鳴箱の代わりにコイルを使って決まった振動数の磁場を発生させて、同じ共鳴周波数を持ったコイルに電気を伝えます。

磁気共鳴方式の送電。/Credit:TDK

こうして音叉の振動が空気を伝わるのと同じ様に、電気も磁場の振動を利用して空間を渡って伝えることができるのです。

ただ、これにも問題があります。向きや距離が変わってしまうと、送電側と受電側で磁場の振動数が変わってしまうので、うまく共鳴しないのです。

そのため、スマホのワイヤレス充電なども、充電パネルの上に決まった向きで静止させて置かないとうまく充電できません。

また、送電時発生したロスは熱に変わるため、あまり電力を上げると発熱して危険という問題もあります。電力を低くして運用すると、結局充電完了までに時間がかかってしまいます。

現在は、かなり研究が進んで安全で効率的なワイヤレス充電が可能になってきていますが、まだまだ制約の多い技術なのです。

動く物体への給電

ワイヤレス充電では、受電側が動き回ると共鳴周波数の磁場をうまく受け取れないため、給電が格段に難しくなります。

これを解決するためには、受電側に動きを感知して送信側の周波数を修正する回路を組み込む必要があります。

今回の研究チームは新しくスイッチ増幅器を利用したシステムを開発することで、2017年の研究では10%だった送電効率を92%まで向上させることに成功しました

ただこの新しい仕組みは非常に複雑で、制御は難しいものです。

現在研究チームは、65センチメートルの距離で10Wの電力を送信することに成功していますが、電気自動車に充電を行うためには数百キロWの電力が必要です。

チームはこれを電気自動車に利用できるまでスケールアップすることは可能だと話していますが、単純に技術的な問題だけでなく、コストの問題が大きく実現までにはまだ時間を要することになりそうです。

給電エリアを持つ高速道路。/Credit:depositphotos

しかし、このシステムが実装されれば、給電エリアを走っているだけで、高速道路をずっと走行し続けることが可能になります。自動運転技術と組み合わせれば、自動車はかなり便利な乗り物に進化するでしょう。

また、この技術は工場内に充電パネルを設置することで、停止させることなくバッテリーを維持して稼働し続けるロボットやドローンを実現できるといいます。

まだ先の話とはいえ、夢の広がる技術です。

この研究は、スタンフォード大学の科学者、Sid Assawaworrarit氏とShanhui Fan氏の連名で発表され、論文は電気工学関連の成果を取り扱う学術雑誌『Nature Electronics』に4月20日付けで掲載されています。

Robust and efficient wireless power transfer using a switch-mode implementation of a nonlinear parity–time symmetric circuit
https://www.nature.com/articles/s41928-020-0399-7

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reference: sciencealert/ written by KAIN
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