「木星のイナズマ」の発生メカニズムを3つの観測器を組み合わせて見事に解明!

space 2020/05/12

木星は、激しい乱気流がいくつも吹き荒れる過酷な環境にあります。

その気候や大気は地球と似ても似つかないので、天文学者たちも理解に苦労しています。

そんな中、NASAおよびカリフォルニア大学バークレー校は、ハワイにあるジェミニ望遠鏡を用いた近赤外線撮影により、木星の新たな高解像度イメージを入手しました。

さらに、この画像データをハッブル宇宙望遠鏡・ジュノー探査機のデータと組み合わせることで、木星内の大気や雷の発生メカニズムの解明に成功したとのことです。

近赤外線で木星内部の「熱放射」が見える!

ジェミニ望遠鏡の近赤外線撮像装置で捉えられた木星のイメージがこちらです。

Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA

この画像は、よく目にする木星画像のように可視光で捉えられたものではありません。ジェミニは、木星の奥深くから発する熱放射を捉えており、それらを赤外線により可視化しているのです。

つまり、この燃えるような光は木星表面の大気ではなく、その隙間から見える深層の熱になります。

これは「ラッキーイメージング」という撮影方法です。

一般的に、地球上からの撮影では、大気のせいで画像がぼやけることがあります。そこでラッキーイメージングでは、短い露出時間で大量に撮影し、その中から大気が安定した際に撮影された鮮明なイメージだけを使うのです。

今回は、38回の露出撮影を実施し、その中から最もクリアな1割の画像を選んで組み合わせました。

その結果、このようなシャープな木星画像の入手に成功しています。

木星のイナズマを捉えた⁈

さらに今回は、宇宙空間にあるハッブル宇宙望遠鏡と木星を周回するジュノー探査機も応用し、3つのデータを組み合わせました。

ジェミニでは、先述したように、木星の奥深くにある深層の雲のデータが、ハッブルの光学撮影では、タワーのようにそびえる厚い雲と水からなる下層の雲が、そしてジュノーでは、雲の中の雷が発する電波データが入手されています。

研究チームは、この3つを組み合わせることで、雷の発生メカニズムを見事に解明しました。

ジュノー(左)、ジェミニ(中央)、ハッブル(右)Credit: NASA, ESA, M.H. Wong/UC Berkeley

そのメカニズムは次の通りです。

最初に、下層にある水の雲が湿った空気を上昇させることで、タワーのような厚い雲が生じます。湿った空気が上昇することで、タワーは低気圧性の渦となります。

この渦の中では、湿った空気による対流が起こり、さらに渦が内部エネルギーを放出するエントツのような働きをすることで雷が発生するというのです。

雷は木星の北半球にある「折りたたまれたフィラメント領域(FFR:Folded Filamentary Regions)」で頻繁に発生していました。FFRは、乱気流が特に激しく、油絵のような渦が見られる場所として知られます。

ジュピター(木星)は、ギリシア神話におけるゼウスを意味します。本研究はまさに、ゼウスの雷がいかに発生するかを解明したものとなったようです。

 

研究の詳細は、4月1日付けで「The Astrophysical Journal Supplement Series」に掲載されています。

史上最高に油絵。木星の乱流を最高レベルの解像度で木星探査機ジュノーが激写!

reference: sciencealertscitechdaily / written by くらのすけ
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