サブマシンガンと同じ威力!? 中世の弓矢の殺傷力は半端じゃなかった

history_archeology 2020/05/13
Credit:Oliver Creighton / University of Exeter
point
  • 中世イギリスのロングボウによって死亡した人の頭蓋骨が見つかる
  • 頭蓋骨の傷から、当時のロングボウが銃弾なみの威力だったと判明
  • ロングボウは、現代の多くの銃と同じく時計回りで回転していた

英国エセクター大学考古学部のオリバー・クレイトン教授らの研究チームにより、イギリス中世の弓矢が現代の弾丸なみの威力を有していたと判明しました。

彼らが英国都市エクセターにあるドミニコ会修道院の墓地から発見された人間の頭蓋骨を調べたところ、それらはロングボウによって撃ち抜かれたものでした。

その頭蓋骨の調査によると、ロングボウは現代の銃のように時計回りに矢を回転させるよう設計されていた可能性があり、容易に頭蓋骨を貫通したかもしれません。

驚異的な殺傷力を持つロングボウ

Credit:Commons/Wikipedia

イギリスの長弓兵は中世において大いに恐れられていました。

百年戦争における当時の記録は、彼らがフランス人に多くの死傷者を出していたこと、ロングボウによる傷がぞっとするほど深刻なものだったことを証明しています。

実際、ロングボウによる矢は鎧を貫通し、多くの騎士を殺しました。ですから、長弓兵が戦場にいるだけで、心理的にもかなり優位に立つことができたようです。

ドミニカ修道院の墓地からは、22の骨片と3個の歯が見つかっており、それには、ほぼ完全な頭蓋骨、右脛骨が含まれていました。

研究者たちによる調査により、これらの骨の損傷がロングボウによってできた外傷だと判明しています。

これらの傷は、中世のロングボウの威力と仕組みを明らかにしました。

頭蓋骨を貫通させるほどの威力

ロングボウから放たれた弓矢は右目を真っすぐに貫通しており、右目上部頭蓋への入り口と頭の後部の出口に大きな傷を作り出していました。

この頭蓋骨への損傷は、銃によってできたものに似ています。研究者たちによると、「この傷はサブマシンガンやホローポイント弾による傷と同じくらい深刻なものだった」とのこと。

また、この傷を作った矢は、「ボドキン」と呼ばれる種類だったと考えられています。

ボドキン/Credit:Commons/Wikipedia

ボドキンの矢尻は縦長の四角錐型であり、貫通力の高さと傷の大きさが特徴的でした。そのため、プレートアーマーを貫通させるためによく使用されていたようです。

実際に、発見された頭蓋骨による証拠は、矢尻が頭を貫通し、それを頭から引き抜くときに更なる外傷を引き起こしたことを示唆しています。

また、埋葬地から発見された脛骨もロングボウから放たれた矢が肉を貫通し、骨に直進したことを示していました。

矢は右脛骨を骨折させた/Credit:Oliver Creighton / University of Exeter

中世のロングボウは時計回りで対象を貫いていた

頭蓋骨の傷は、ロングボウの貫通力だけでなく、その回転方向についても明らかにしています。

中世の矢が、安定性と精度を最大限にするために放出された後に回転しながら飛んでいくよう設計されていたことは、周知の事実です。

それに加えて、今回の研究では、頭蓋骨の傷を調べることで矢が当たったときの回転方向も判明しました。

研究者たちは、「この矢が犠牲者に当たったときに、少なくとも時計回りに回転するよう設計されていた可能性がある」と述べています。

矢が頭蓋骨に当たったときの傷/Credit:Oliver Creighton / University of Exeter

現代の銃のほとんどは弾丸が時計回りに回転するように作られていますが、中世の矢も同じ向きで回転していたのです。

考古学は、中世の年代記に記載されているロングボウが恐ろしく効果的な武器であったことを裏付けています。

これにより、中世の紛争の残忍性がより明確なものとなったのです。

研究の詳細は5月5日、「Antiquaries Journal」に掲載されました。

「サビの塊」を9ヶ月磨いたら2000年前の古代ローマ戦士の「銀」の短剣だった

reference: ancient-origins , archaeology / written by ナゾロジー編集部
あわせて読みたい

SHARE

TAG