月軌道の内側まで接近する小惑星を発見! 地球を守る惑星防衛局が出動!

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地球に接近する小惑星のイメージ図。/Credits: NASA/JPL-Caltech
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  • 4月27日、ハワイの天文台が月軌道の内側まで侵入していて衝突確率10%の小惑星を発見した
  • 小惑星のサイズは数m程度で、地球に落下しても大気圏で燃え尽きる大きさと判明
  • 小惑星は静止軌道上の人工衛星に1200kmまで接近したが、そのまま地球を通過した

宇宙の話題が好きな人は、最近小惑星のニュースをよく耳にするなあ、と感じているかもしれません。

実は現在NASAやESAといった宇宙機関は、惑星防衛局という小惑星から地球を守る組織を作っていて、小惑星を発見して追跡することがとてもうまくなっているのです。

小惑星の発見が報告されると、世界中の天文台が連携して、そのサイズや軌道予測を行い地球に害がないか調査を行います。

ただ、大きい小惑星は比較的遠い位置からでも発見されますが、本当に小さな小惑星の場合、レーダー網を通り抜けて思わぬ近距離で発見されることがあるようです。

今回は、そんな地球に恐ろしく接近した小惑星に対応する、惑星防衛局のお仕事を見ていきましょう。

未確認飛行物体発見! 地球のピンチ!

ハワイ・マウイ島のPan-STARRS天文台。/Credit:ESA,Rob Ratkowski

4月27日、ハワイにあるPan-STARRS天文台が小惑星の発見を報告しました。

小惑星は、1時間程度の観測の結果、月軌道の内側まで地球に接近していて、翌日地球に衝突する確率が10%であると報告されたのです。

この未知の小惑星の報告に、世界中の天文台がただちに対応を開始。報告を受けて50分後には、中国の星明天文台が最初の追跡を始め、その位置や移動、明るさに関するデータの取得に成功しました。

続いて、ESA惑星防衛局の協力者であるドイツのタウテンブルグ天文台が、この小惑星の監視を開始し、その姿を映像に収めています。

ドイツのタウテンブルグ天文台で2020年4月28日に観測された「2020 HS7」。/Credit:ESA / Tautenburg Observatory, S. Melnikov, C. Hoegner, B. Stecklum

こうして集められたデータは、ただちに検証され小惑星が地球に衝突することはないという結論に至りました。

ただ、小惑星はこの時点で月軌道の内側にまで地球に接近していて、翌日の最接近時には人工衛星の密集する静止軌道までやってくることが判明。しかし、小惑星のサイズは、4~8メートルで、このサイズならたとえ地球に衝突しても大気圏で燃え尽きてしまう可能性が高いため、重大な脅威にはなりませんでした。

地球に接近する小惑星2020 HS7軌道。/Credit:ESA

それでも、人工衛星にぶつかられると厄介ですが、世界中の天文学者の計算からそういった脅威も無いことが明らかにされました。

これは何の危険もない小惑星でしたが、世界中の天文台が小惑星発見から迅速に追跡を開始して、驚くべき精度でその軌道を予測する能力を見せつける、非常に興味深い事例でした。

惑星防衛

今回の小惑星が接近した静止軌道のイメージ。/Credit:ESA

最近小惑星のニュースを頻繁に耳にするのは、このように世界中の天文台が連携して集中的に小惑星を追跡調査する体制が整っているためです。

今のところ地球にとって明確に脅威となるような小惑星は発見されていません。

しかし、恐竜の絶滅は小惑星の落下が原因であるとされており、その災厄はいつ地球に降り注ぐかわかりません。

そのため、世界の宇宙機関は来たるべき危険小惑星の接近に備え、入念な防衛体制を敷いているのです。

現在、小惑星に探査機をぶつけて軌道をそらすというダブル小惑星リダイレクトテスト(DART)というミッションがNASA主導で進められていますが、これが成功すれば人類にとって、危険な小惑星を回避する手段が1つ増えることになります。

今回の月軌道の内側に侵入されるまで気づけなかった小惑星も、発見から数時間で詳細な観測と軌道予測が完了しました。

後に「2020 HS7」と名付けられた小惑星は、静止軌道上の人工衛星に1200キロメートルまで接近しましたが、地球に何の被害をもたらすこともなく、安全に通り過ぎていきました

これは丁度いい地球の防災訓練になったようです。

「地球殺し」小惑星の軌道をそらすMITのガチ研究が発表

reference: ESA,NASA,sciencealert/ written by KAIN
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