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日本人は新型コロナウイルスに対して免疫を持っている可能性 低い死亡率の原因?

2021.01.27 Wednesday

2020.05.19 Tuesday

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Credit:live2.nicovideo
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  • 新型コロナウイルスに感染した日本人の免疫反応は、既に同種のウイルスに感染済みのパターンを示した
  • 日本人に免疫学習をさせたのは風邪コロナウイルスだった可能性がある
  • 感染症の発生源から遠く離れた地域の生物は、感染症に耐性がない

世界各地で感染を広げている新型コロナウイルスですが、国によって感染者の増加率や死亡率に大きな差があることがわかってきました。

これらの差は国による検疫の違いの他に、ウイルスそのものが変異して引き起こされた可能性が以前の研究で示唆されています。

しかし今回、東京大学などの研究者たちによって日本人の免疫反応が詳しく調べられた結果、日本人には新型コロナウイルスに対する免疫が一部存在していることが示唆されました

これらの免疫力は、2003年のSARS発生後もコロナウイルス(弱毒化したもの)が断続的に東アジアで発生しており、東アジア人の間に風土病として流行することで獲得されていたとのこと。

もし今回の研究結果が事実ならば、風土病となったコロナウイルスが、日本人に新型コロナウイルスと戦うための免疫学習の機会をあらかじめ与えててくれたことになり、日本における低い死亡者の説明になります。

では風邪コロナウイルスは、どのようにして日本人に免疫を与えていたのでしょうか?

即応抗体(IgM)と専門抗体(IgG)

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Credit:Chiome Bioscience Inc

ウイルスに感染すると、人間の体はウイルスを排除するための抗体が生産されます。

私達が細菌やウイルスに感染したときに最初に生産される抗体が「IgM抗体」で、早期対応のための幅広いウイルス認識力を持っています。

また、IgM抗体によってある程度ウイルスの認識が進むと、対象となるウイルスの排除に特化した「IgG抗体」が作られます。

IgG抗体は感染を排除した後も残り続けるため、再度ウイルスが侵入したときに素早くIgG抗体が増殖でき、2回目の感染を防止します。

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Credit:mbl

そのため、上の図のように、IgM抗体とIgG抗体のどちらが多いかを調べることで、患者が似たようなウイルスに感染した経験があるかどうかの調査が可能になります。

もし日本人が新型コロナウイルスに対して免疫力を持っていた場合、IgM抗体とIgG抗体の増加パターンは上の図の右側のように、IgG抗体の増加のほうが先に高くなるはずです。

では、実際の調査結果をみてみましょう。

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