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小惑星なのに「尾」がある…!新しいタイプの小惑星が発見される

2022.03.21 Monday

2020.05.23 Saturday

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「2019 LD2」を撮影したATLASの画像。/Credit: University of Hawaii at Manoa
point
  • 彗星は汚れた雪玉のようなもので、太陽の熱で解けて尾を放つ
  • 小惑星は岩石の塊で尾は出さないはずだが、尾を出しているものを活動的小惑星という
  • 木星トロヤ群で初めて活動的小惑星が見つかり注目されている

彗星と小惑星がどう違うかご存知でしょうか。

彗星とは揮発性の高い氷を多く含む天体で、太陽に近づくとそれらが昇華して霧のような光の尾を発生させます。そして非常に楕円の軌道を描いて、太陽系の外縁からやってきます。

一方、小惑星は乾いた岩石の塊で光る尾は出しません。そして、主に火星と木星の間辺りを惑星と同じ様な軌道で周っています。

つまり光る尾と軌道によって、彗星と小惑星は区別されているのです。

ところが、この定義に当てはまらない特殊な小惑星が発見されました。

「2019 LD2」と名付けられたこの小惑星は、小惑星としての軌道を持ちながら彗星のような尾が観測されています

こうした尾を出す小惑星は活動的小惑星と呼ばれていて、これまでもいくつか発見されていますが、あまり詳しいことはわかっていません。

活動的小惑星の多くは、彗星のような楕円の軌道をめぐる岩石だったため、太陽に近づいた拍子に何らかの揮発成分が昇華して尾を出していると目されています。

そのため尾を作っている成分はなんなのか? というところが注目されます。

しかし、「2019 LD2」の場合は尾がどんな成分か? というだけでなく、なんでそんなところに? というところが新しい発見でした。

それは太陽との位置関係が基本的に変化しない木星トロヤ群という、いわゆる小惑星帯の中で見つかったからです。

こうした場所から活動的小惑星が発見されたのは初めてのことです。

彗星と小惑星

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彗星の尾。/Credit:国立天文台

彗星は構成要素の多くが揮発する氷で出来ています。

これは砂や石が付いた汚れた雪玉のようなもので、太陽に近づくと氷が解けて蒸発し、一緒にくっついていた塵やガスが表面から放出されます。

これが太陽光を反射するので本体がぼんやりと淡い光に包まれたように輝きます。これを「コマ」と呼びます。

さらに彗星はかなりの速度で宇宙を移動しているので、放出されたガスや塵が尾を作ります。ガスはプラズマ化していて帯電しているため、太陽風の影響を受けて太陽と反対方向へ伸びます。

こうした理由で彗星の尾は二又にわかれて見えるのです。

また彗星は軌道も特徴的で、主に太陽系の非常に遠い外縁部からやってくるため、細長い楕円や、双曲線軌道を描きます。太陽を一度回ったらその後二度と戻ってこないような彗星も珍しくありません。

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彗星の軌道。/Credit:国立天文台

一方、小惑星は岩石の塊で、揮発するような氷は持っていません。そのためぼんやり輝いたり、尾を引いたりすることはありません。

そしてほとんどの小惑星は、火星と木星の間にある小惑星帯と、木星のラグランジュ点であるトロヤ群という領域に浮かんでいます。

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小惑星帯。「2019 LD2」はトロヤ群で発見された。/Credits: NASA, ESA and J. Olmsted (STScI)

この小惑星帯では、当然小惑星しか発見されておらず、彗星は存在しません

ところが、「2019 LD2」はこのトロヤ群で尾を出していたのです。

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