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ゲームのプレイ動画を眺めるだけで同じゲームを作れるAIが開発される

2021.01.27 Wednesday

2020.05.25 Monday

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Credit:blogs.nvidia,PAC-MANTM & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
point
  • NVIDIAのAIモデル「GameGAN」が、名作パックマンの再開発に成功した
  • AIは5万件のパックマンプレイ動画を見ただけでゲームを制作、実際にプレイもできる
  • このシステムは、将来的にゲーム開発の効率化などに貢献できる可能性がある

『パックマン』は今から40年前の1980年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたコンピューターゲームです。

たった5人の開発チームによって作られたこのゲームは世界的なヒットを飛ばし、ゲーム史に名を残す名作となっています。

今年40周年を迎えたこのパックマンを、NVIDIA Researchの研究者は、基礎となるゲームエンジンなしでAIによって生成することに成功しました。

しかも、このAIは誰かに作り方を教わるわけでもなく、人がプレイしている画面をひたすら視聴し続けるだけで、完全に機能するゲームをまるまる再現してしまったのです。

これは開発コストが激増の一途をたどるゲーム開発において、朗報となる成果かもしれません。

見ただけでゲームを作っちゃうAI

NVIDIA(エヌビディア)は、PCでゲームをやる人でなければ馴染みのない会社かもしれませんが、主に画像処理技術で有名な半導体メーカーです。

このNVIDIAの研究所で開発されたAI「GameGAN」は、なんとゲームのプレイ動画を見ているだけで、そのゲームをまるまる作ってしまうことができるのです。

このAIには、存在しないデータを自動生成するアルゴリズム「敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks:GAN)」という仕組みが利用されています。

最近よく耳にする、存在しない人の顔写真を生成したり、アニメキャラを生成したりするAIも、この敵対的生成ネットワークを利用しています。

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人の顔写真からアニメキャラを生成するAI。/Credit:NCSOFT

こうしたAIの中には、贋作者(生成ネットワーク)と、鑑定士(識別ネットワーク)の2人が存在していて、片方が存在しない新しいデータを生成すると、もう片方がダメ出しをする、という作業を繰り返しています。

偽ブランドや、偽札などを作る贋作者は、最初見様見真似で偽物を作りますが、それを取り締まる警察やメーカーの鑑定士にバレてしまうと、改良してどんどん偽造の精度を上げていきます。

敵対的生成ネットワークでは、このイタチごっこを再現することで、どんどん精度の高い自動生成ができるようになっているのです。

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敵対的生成ネットワークの簡単な仕組み。/Credit:ナゾロジー編集部,いらすとや

これは通常の機械学習と異なり、何が正しいのか教える教師がいなくても2つのネットワークが競合して、勝手にどんどん学習し成長してく非常に理想的なAIです。

GameGANは、パックマンのプレイ動画を5万件も視聴することで、画面の構成やゲーム内のルールを理解し、最終的に本物のパックマンを作ってしまいました。

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