「飼育効果」はウソ?野生オウムもペットオウムと同じ賢さを持つことが判明

animals_plants 2020/06/02
Credit: Berenika Mioduszewska , nytimes

これまでの動物研究では、人に飼育されている個体ほど賢くなる「飼育効果」という仮説が立てられていました。

実際、人の環境にさらされたチンパンジーは、野生の個体よりも認知能力が向上したケースがあります。

しかし今回、オーストリア・ウィーン獣医学大学(University of Veterinary Medicine Vienna)の研究によると、飼育が必ずしも動物を賢くするとは限らないことが判明したようです。

飼育されたオウムと野生のオウムを比較した実験では、両者の認知機能に違いがないことが明らかになりました。

また本研究には、「イノベーション・アリーナ」という新しい実験方法が採用されています。

新たな実験装置「イノベーション・アリーナ」とは?

「イノベーション・アリーナ」は、同大学の研究チームが新たに作成した、動物の認知能力をテストするための実験装置です。

半円形上に20の小部屋(アリーナ)が並べられており、それぞれに解決法の異なるタスクが設置されています。

そのタスクを解くことができたら、報酬としてエサがゲットできる仕組みです。

Credit: nature

各タスクの解決法は、例えば、レバーを動かす、ボタンを押す、ホイールを回転させる、ワイヤを曲げるといったものです。

実験では、「シロビタイムジオウム」というインドネシア原産のオウムに協力してもらいました。

イノベーション・アリーナ/Credit: Goffin Lab, Messerli Research Institute

認知能力に違いはないが、ただし…

研究チームは、飼育されている人馴れしたグループと一時的に捕獲されている野生のグループとで、認知機能を比較しました。前者はウィーンのラボ内で、後者は生息地のインドネシアで実験されています。

テスト開始後、似たような実験に慣れている飼育グループは、すぐタスクに取り組んだ一方、野生グループは少し戸惑う様子を見せました。それでも、いったん慣れてしまうと、スムーズにタスクに取り組んでいます。

そして、制限時間内のタスク成功率を比べたところ、両者の認知能力に違いはなく、野生のオウムも飼育されたオウムと同等の賢さを見せました。

Credit: nature

その一方で、大きな違いもありました。「タスクへの関心の高さ」です。

飼育グループ11羽の内、10羽が積極的にタスクに取り組んだのに対し、野生グループ8羽の内、やる気があったのはわずか3羽でした。

やる気のあるオウムでは、飼育でも野生でも認知能力や積極性に違いはなかったのですが、やる気のないオウムたちは、アリーナに近づこうともせず、エサにも興味を示さなかったのです。

これは、飼育されたオウムが実験装置の何たるかを知っていて、野生のオウムは知らなかったことも関係しているでしょう。

あるいは、人による飼育が高めるのは、動物の認知能力ではなく、やる気なのかもしれません。

研究の詳細は、5月26日付けで「Scientific Reports」に掲載されました。

Using an Innovation Arena to compare wild-caught and laboratory Goffin’s cockatoos
https://www.nature.com/articles/s41598-020-65223-6

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reference: nytimes / written by くらのすけ
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