暑さをやわらげる「クーラー遺伝子」発見! トウガラシを食べると涼しくなることが証明される

medical 2020/06/05
credit: depositphotos
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  • 体温を下げるクーラー遺伝子はカプサイシンでスイッチが入る
  • クーラー遺伝子が壊れていると、高温条件でも体から放熱できない
  • 暑い時に辛いものを食べると良いのは本当だった

暑い時に辛いものを食べると不思議と涼しくなる…

そんな古くから伝わる経験的記憶を、科学的に証明する一連の研究が日本の大学で行われました。

研究の鍵となったのは、トウガラシの主成分であるカプサイシンです。

生き物はカプサイシンを摂取すると、体温が変わらなくても体は暑さを感じ取り、大量の発汗を促して放熱しようとします。

そのメカニズムはわかっていませんでしたが、今回、日本の研究者がその仕組みを調査し、ついにカプサイシンに反応して体の暑さを緩和するTRPV1という「クーラー遺伝子」を発見しました。

このクーラー遺伝子はカプサイシンが体に入るとスイッチがオンになり、体に放熱を促すように働くのです。

また研究では、クーラー遺伝子を破壊された変異マウスは、暑い環境でも体温を放熱できなくなっており、カプサイシンにも反応しなくなることが確認されました。

クーラー遺伝子の欠損は暑さオンチになる

クーラー遺伝子が壊れていると高温でも体から熱放射が行われない/Credit:nature / Scientific Reports

今回の研究では、クーラー遺伝子(TRPV1)が壊れている場合、体が暑さを感じられなくなることがわかりました。

上の図では、健康なマウスは高温条件(32.5℃)になると熱を発散して体温を下げる一方で、クーラー遺伝子が欠損しているマウスは、周囲の温度にあわせて自分の体温も上がってしまう様子を表しています。

このことからクーラー遺伝子には暑さを調節する機能があることがわかりました。

次は、クーラー遺伝子とカプサイシンの関係を、行われた実験をもとに紹介します。

クーラー遺伝子があるとカプサイシン摂取で体温が下がる

クーラー遺伝子がなければカプサイシンを食べさせても体温が下がらない/Credit:Physiology & Behavior

カプサイシンとクーラー遺伝子(TRPV1)の関係は、マウスにカプサイシンを経口投与するという実験の末、確認されました。

マウスは辛い思いをしたでしょうが、そのお陰でカプサイシンはクーラー遺伝子のスイッチを入れる因子になることが判明しました。

上の図(上段)では、健康な野生型のマウスの場合、カプサイシンを投与されると尻尾の部分で放熱がはじまり、時間と共に体温が冷やされていく様子が示されています。

一方、クーラー遺伝子を破壊された変異マウスは、カプサイシンを投与されても尻尾での放熱が起こらず(下段には尻尾が写ってない)、体温は高いままです。

経験医学がまた一つ証明された

科学の進歩のために身と舌を捧げてくれたマウスたち/Credit:nature / Scientific Reports

マウスのお陰で、暑い時に辛い物を食べると涼しくなるという経験医学が、科学的に本当であることがわかりました。

最高のクールダウン飲料を作るには、冷えた水にトウガラシ成分カプサイシンをたっぷり混ぜればいいのです。

舌は熱くなりますが、体は冷えます。

今年の夏は、暑さ対策に「冷たくて辛い料理」を食べるといいかもしれません。

冷たくて辛い料理「冷やし担々麺」 / Credit: S&B

研究内容は日本の京都工芸繊維大学のPark Yonghak氏らによってまとめられ、5月29日に学術雑誌「nature / Scientific Reports」に掲載されました。

TRPV1 is crucial for thermal homeostasis in the mouse by heat loss behaviors under warm ambient temperature
https://www.nature.com/articles/s41598-020-65703-9/

週4回以上トウガラシを食べると、死亡リスクが23%低下するという研究結果

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reference: nature / Scientific Reports / written by katsu
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