捕食者の”胃を突き破る”未知のウミヘビが発見される

story_fun 2020/06/08
Credit:depositphotos
point
  • 捕食者である魚の胃を破って逃げようとしたウミヘビが発見される
  • 尖った尾を使って胃から脱出したウミヘビはそのまま力尽き、魚の腹の中に埋め込まれてしまう

弱肉強食の海底では、どんな生物でも絶望的な状況に追い込まれることがあります。

それはウミヘビたちも例外ではありません。大きな魚に丸飲みされてしまうなら、ほとんどの場合は諦めるしかないのです。

しかし、そんな絶望的な状況でも、生きるために全力を尽くしたウミヘビが存在するようです。

オーストラリア・ノーザンテリトリー博物美術館の魚類学者であるマイケル・ハマー氏ら研究チームは、オーストラリアの海域で、捕食者の胃を突き破って脱出しようとしたウミヘビを発見しました。

捕食者の胃の外で見つかるウミヘビ

Credit:depositphotos

通常、捕食者に飲み込まれた生き物は胃で消化された後に腸で吸収されます。

しかし、新しく発見されたウミヘビはそれら胃腸ではなく、「腸間膜」付近に存在していたとのこと。

腸間膜とは、腹の空間内にある小腸などを支えている薄い膜のことです。

つまり、ウミヘビは胃腸の中ではなく、胃腸の外側に存在していたのです。

この現象の原因として考えられるのは、「ウミヘビの脱出」でしょう。丸飲みされたウミヘビが自身の尖った尾で捕食者の胃に穴をあけ外に逃げ出すのです。

胃から脱出したウミヘビのほとんどは腸間膜までたどり着き、それ以上「掘る」ことができずにその場で徐々にミイラ化していきます。

【閲覧注意】捕食者の胃を突き破って脱出?

これまで、このような「ウミヘビの脱出現象」はいわばアクシデントであり、非常に稀な出来事だと考えられてきました。

しかし科学者たちは、自分たちの予想以上にこの現象と遭遇するため、不思議に感じています。

実際、バハマからフロリダ、北西大西洋、地中海に至るまで、捕食者の腸間膜付近に埋め込まれたウミヘビが目撃されているのです。

今回研究者たちは、オーストラリア各地の様々な場所から11種の捕食魚を集め、7匹の魚の中に「脱出ウミヘビ」が入っているのを発見しました

腹膜付近に埋まっているウミヘビたち(クリックするとモザイク無しへ) / Credit:Memoirs of the Queensland Museum

それらのウミヘビは魚の腹の中に埋まっているわけですから、「寄生行動」とも考えられなくはありません。

しかし調査の結果、科学者たちは今回の現象は、不運にも胃から脱出できてしまったウミヘビたちの末路だと考えています。

さて、研究者たちは1匹の魚を開いたところ、まだ生きている脱出ウミヘビを発見しました。しかし、実際にウミヘビが尾を使って脱出している状況を観察したわけではありません。

「脱出ウミヘビ」の行動については未知の部分が多く、さらに調べていく必要がありそうです。

この研究は5月27日「Memoirs of the Queensland Museum」に掲載されました。

Observations of ‘pseudoparasitism’ involving snake eels (Teleostei: Ophichthidae) in commercially important Black Jewfish Protonibea diacanthus (Sciaenidae) and other teleost species
https://network.qm.qld.gov.au/About+Us/Publications/Memoirs+of+the+Queensland+Museum/MQM+Vol+62/mqmn-62-barton-et-al#.Xtlsf55KiBY

人に会えなくなった水族館の魚たちに次々と「うつ症状」が出始める

海の殺し屋”イモガイ”の「毒」が人間の糖尿病に効果あり! 毒薬変じて薬となる

reference: sciencealert / written by ナゾロジー編集部
ナゾロジーは、科学と「不思議な現象」の狭間にある「謎」をお伝えするニュースメディアです。
宇宙、素粒子、AI、遺伝子、歴史、心理学など、様々な角度から身近な「謎」を追求しています。
Nazologyについて
記事一覧へ
あわせて読みたい

SHARE

TAG